野生ニシローランドゴリラの生活史に伴う糞便中コルチゾル濃度の変化
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- 藤田 志歩
- 鹿児島大・共通教育
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- NZE NKOGUE Chimène
- 山口大・連合獣医 IRET CENAREST
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- 井上 英治
- 東邦大・理
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- 竹ノ下 祐二
- 中部学院大・看護リハ
書誌事項
- タイトル別名
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- Variation of fecal cortisol levels with life history stages in wild western lowland gorillas (<i>Gorilla gorilla gorilla</i>)
抄録
<p>近年,ゴリラの社会構造は地域間で変異が見られることが分かってきた。ゴリラの社会構造の決定要因として,繁殖相手を巡る集団内外の雄間競合や集団サイズ,オスおよびメスの分散パタンなどが考えられる。また至近的には,個体の生理状態も性成熟に伴う出自集団からの移出の有無やタイミングに影響を及ぼすと考えられる。本研究は,ニシローランドゴリラの生活史段階とストレスレベルとの関連について調べるため,ガボン共和国ムカラバ-ドゥドゥ国立公園の人付けされた集団において,2011年から2017年まで各個体の糞便試料を収集し,コルチゾル濃度を測定した。糞便試料はDNA解析により個体識別を行い,調査期間に対象集団に在籍した25個体(生後2年以内に消失した個体を除く)のうち少なくとも18個体のコルチゾル動態を得た。その結果,性および年齢区分によるコルチゾル濃度の有意な差はなかった。しかし,個体毎に見ると,比較的多くの試料が得られたオス2個体とメス1個体では,コドモ期よりサブアダルト期の方がコルチゾル濃度は高い傾向がみとめられた。また,対象集団では調査期間中にサブアダルト3個体(オス:1,メス:2)が移出し,2016年にシルバーバックが消失すると,これに続いてさらにサブアダルトオス2個体が移出した。これらの個体の移出時の推定年齢は,オスではそれぞれ14歳および15歳であり(1個体は不明),メスではいずれも9歳であった。一方,移出していないサブアダルト個体がオスでは4個体あり(2017年現在で12~14歳),メスではなかった。このことから,出自集団からの移出の決定要因はオスとメスで異なることが推察された。サブアダルト期のストレスレベルが出自集団からの移出にどのように影響するのかについて考察する。</p>
収録刊行物
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- 霊長類研究 Supplement
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霊長類研究 Supplement 33 (0), 69-70, 2017
日本霊長類学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205635044096
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- NII論文ID
- 130006997503
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可