イヌのメタボリックシンドロームを解明する

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抄録

 メタボリックシンドロームと聞くと,太ったヒトのイメージがすぐに浮かぶ.しかし,実際に問題となるのは,糖尿病,高血圧や心臓病などの病気がメタボリックシンドロームに関連していることである.一方で,気にして観察すると太っているイヌが散歩しているのも見かけるようになった.今回,動物とヒトとの関係について考えてみたときに,イヌでもメタボリックシンドロームと呼ばれる病態が存在して,病気と関連するのかという疑問が浮上した.そこで,今回はヒトのメタボリックシンドロームの基準を元に,メタボリックシンドローム候補のイヌとそうでないイヌを分類し,様々な要因との関連性と実際の病気との関連性があるのかを調べることを目的とし調査した.一般の動物病院と大学附属動物病院に来院するイヌを対象とした.データとしては,1)飼い主へのアンケートで飼育環境と運動の量や質を調査した,2)動物病院では品種,年齢,性別体重,血液検査,病気の診断を調査した.メタボリックシンドローム候補は単純に体重を測定して,各品種の平均体重+ 2SD以上のものを,暫定的に肥満とした.まず,メタボリックシンドロームの基準に関しては,ヒトの診断基準がウエスト周囲径と次の3項目(血糖値・血圧・血清脂肪 )のうちいずれか2項目以上当てはまるという定義を利用しようと試みたが,ウエストの測定は品種による体型の違いがおおきく,難しいということが分かった.そこで,体重とイヌで栄養状態の指標とされている Body conditioning score (BCS)の測定も可能な犬では参考値として集めた.現在,実験が始まったばかりで統計解析はこれからであるが,今回の研究では食事,運動のどちらがイヌの肥満により関連するのか,品種による差異があるのかを最初の解析テーマとする.さらに,血液検査の結果や病気から,ヒトと同じように肥満が病気に関連する可能性を検討する.

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  • CRID
    1390001205636240640
  • NII論文ID
    130005471712
  • DOI
    10.14907/primate.29.0_279_2
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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