飛行機目視調査によるスナメリの個体数推定 (1)

DOI

抄録

【目的】小型鯨類のスナメリに対する飛行機目視調査の発見データから,個体数推定のための有効探索幅を推定する.<br>【方法】ライントランセクト法に基づく調査を,スナメリの 5主分布域 (仙台湾~東京湾,伊勢湾・三河湾,瀬戸内海,有明海・橘湾,大村湾 )で行った.本種の岸よりの分布 (KasuyaandKureha1979)を考慮し,海岸線に対し調査コースを垂直に設置するよう努めた.仙台湾~東京湾,伊勢・三河湾,有明海・橘湾,大村湾では緯度線に (以下,緯線調査),瀬戸内海では経度線に (経線調査),平行に調査コースを設置した.吉田ら (2013)に準拠し 2名の観察者が小型セスナ機に乗り,左右の海面を探索した.スナメリ群発見時,横距離 (群への伏角と高度から計算 )を記録した.有効探索幅は緯線調査と経線調査で別々に求めた.海面反射が探索に与える影響を除くため,緯線調査では調査コース南側の発見は除いた.Beaufort風力階級 3以上での発見は除いた.調査海域・年毎に,左右観察者間で横距離別の発見頻度を KS検定により比較し,差が認められなければ左右の発見を統合し年間で比べ,最後に海域間で比較した.有効探索幅はプログラム DISTANCEVer.6.0(Thomas,et al.2009)により推定し,モデル選択はAICによった.<br>【結果】緯線調査は2002年11月~2012年8月に30回行われ,712群 1,287頭の発見があった.経線調査は2003年1月~2006年12月に14回行われ,209群 326頭の発見があった.両調査とも,観察者間,年間,海域間で発見頻度に差はみられなかったため(p<0.05),各々全データを統合した.横距離別の発見頻度は,両調査とも横距離 80mまで増加した後,減少に転じた.機体下方向の見落としが多いものと考え,横距離 80mでの発見率を 1と仮定した.緯線調査では Hazardrateモデル (調整項なし )が,経線調査では Uniformモデル (Cosine)が選択され,有効探索幅はそれぞれ 102m(CV=4.8%)と 97m(CV=6.2%)と推定された.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205636253440
  • NII論文ID
    130005471734
  • DOI
    10.14907/primate.29.0_269_1
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ