ウシの経済形質に関与する新規バイオマーカーAnnexin A5アイソフォームの同定 : 畜産分野における多検体プロテオームデータ解析を用いたバイオマーカーの探索
書誌事項
- タイトル別名
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- Discovery of biomarker candidates, Annexin A5 isoforms, related to bovine economic traits by large-scale proteomic data analysis
説明
背景 : 近年、農学分野においてもプロテオミクス研究が進展している一方、家畜の育種・生産分野では、家畜の育種選抜・生産や病気を診断するバイオマーカーの探索はほとんど実施されていない。我々は、ウシの経済形質(枝肉重量,ロース芯面積,BMS No.(脂肪交雑基準)など)に関与するバイオマーカーの探索を目的として、10944頭のウシの生物情報(血統や枝肉形質43項目)をデータベース化するとともに、ウシ白色脂肪組織を用いた大規模プロテオーム解析システムを構築した(文献[1])。<BR> 方法 :データベースに登録したウシから任意に220個体を抽出し、白色脂肪組織に発現しているタンパク質について、二次元電気泳動を用いた発現量解析とMALDI-TOF/TOF型質量分析機(4700, ABI)を用いたタンパク質の同定をおこなった。プロテオーム解析データはLIMSソフトウェアBIOPRISM(NEC)で一元管理し、ウシの生物情報43項目とプロテオーム解析情報(879個のタンパク質発現量)を用いて統計解析をおこなった。<BR> 結果 : ウシ白色脂肪組織のタンパク質から、詳細なMS/MSスペクトルの解析により2種類のAnnexin A5アイソフォーム(CaBP33, CaBP37)を検出・同定した。CaBP33とCaBP37両方を発現する個体群(96頭),CaBP33のみを発現する個体群(106頭),CaBP37のみを発現する個体群(18頭)に分類した。各群間の生物情報を比較したところ、月齢には優位な差が見られないのに対し、枝肉重量とロース芯(最長胸筋)面積について差が見られ、CaBP33とCaBP37両方を発現する個体群がどちらか一方を発現する個体群よりも小さい傾向にあった。また、分類した各群間のAnnexin A5以外のタンパク質発現量を比較したところ、28スポットのタンパク質発現量に差が見られた(p<0.05)。さらに、200検体のAnnexin A5発現パターンで分類しない個体群から枝肉重量の大きい個体群(>平均値+標準偏差の個体,n=27)と小さい個体群(<平均値-標準偏差の個体,n=26)を抽出し、各タンパク質の発現量を比較したところ、44スポットについて有意差があり(P<0.05)、5スポット2種類のタンパク質についてAnnexin A5アイソフォーム発現パターンで分類した群間で発現量に差のあったタンパク質と共通していた。各タンパク質のバイオマーカーとしての検証をおこなうとともに、経済形質の予測診断に最適なタンパク質バイオマーカーの組み合わせに関して検討している。<BR> 文献[1] K. Nagai et al., Animal Sci. J. Vol.79, No.4, 2008
収録刊行物
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- 日本プロテオーム学会大会要旨集
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日本プロテオーム学会大会要旨集 2009 (0), 77-77, 2009
日本プロテオーム学会(日本ヒトプロテオーム機構)
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205639717376
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- NII論文ID
- 130006999559
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可