炭素イオンビーム照射による出芽酵母の突然変異誘発機構の解析

DOI
  • 松尾 陽一郎
    大阪大学大学院 工学研究科 環境・エネルギー工学専攻
  • 西嶋 茂宏
    大阪大学大学院 工学研究科 環境・エネルギー工学専攻
  • 長谷 純宏
    日本原子力研究開発機構 量子ビーム応用研究部門 バイオ応用技術研究ユニット
  • 坂本 綾子
    日本原子力研究開発機構 量子ビーム応用研究部門 バイオ応用技術研究ユニット
  • 鳴海 一成
    日本原子力研究開発機構 量子ビーム応用研究部門 バイオ応用技術研究ユニット
  • 清水 喜久雄
    大阪大学 ラジオアイソトープ総合センター

書誌事項

タイトル別名
  • Molecular analysis of carbon ion induced mutations in the budding yeast Saccharomyces cerevisiae

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抄録

本研究は、イオンビームによる突然変異誘発のメカニズムを分子レベルで解析することを目的として、Saccharomyces cerevisiae野生株ならびにDNA修復欠損株を用い、イオンビームによる損傷とDNA修復の機序について解析することを試みた。<BR> 照射試料として野生株、二本鎖切断修復不活性株であるrad52欠損株、および酸化型核酸塩基前駆体8-oxo-dGTPの除去活性を失ったogg1欠損株を用いた。炭素イオンビーム(エネルギー:220 MeV,LET:107 keV/μm)の照射は、日本原子力研究開発機構イオン照射研究施設(TIARA)のAVFサイクロトロンを用いた。最も突然変異頻度が高かった照射区で得られた突然変異体のURA3領域(804 bp)をPCR増幅後、シーケンス解析によって変異位置を決定した。<BR> その結果、rad52欠損株では、ヒストンタンパクと結合した部位にhot spotがあり、一方、野生株およびogg1欠損株では、ヌクレオソーム構造におけるリンカーDNA領域に局所的に変異が誘発された。また、変異パターンの解析から、イオンビーム誘発突然変異の要因として8-oxo-dGTPが大きく関与することが示唆された。

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