出芽酵母(<I>Saccharomyces cerevisiae</I>)から精製したsnRNA/タンパク質複合体のリボヌクレオプロテオミクス解析

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タイトル別名
  • Ribonucleoproteomic Analysis of small nuclear RNA/protein complexes purified from <I>Saccharomyces cerevisiae</I>

説明

近年、転写や翻訳、タンパク質輸送などの細胞機能の調節にさまざまなRNA/タンパク質(RNP)複合体が関与していることが明らかになっている。これらのRNP複合体の構造と機能、生合成や作用機構を理解するためには、複合体を構成する全てのRNAとタンパク質成分を同定し、転写後修飾を含む化学構造を詳細に解析することが必要である。我々は、培養細胞などの生体試料から低分子RNAを含むRNP複合体を回収し、複合体を構成するRNA/タンパク質を網羅的に解析する「リボヌクレオプロテオミクス」研究を目的として、RNP複合体を構成するタンパク質とRNAを統一的に解析できる質量分析(MS)プラットフォームの開発を行っている。本研究では、現在までに開発したRNA解析用の高性能nanoLC-Orbitrap MS/MSシステムと、RNase消化で生じたRNA断片のMS/MSスペクトルからもとのRNAを同定するために開発した世界で初めてのデータベース検索エンジン(Ariadne)を利用して、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)から精製したsnRNA/タンパク質(snRNP)複合体のリボヌクレオプロテオミクス解析を行った。まず、TAPタグを付加したSpliceosomeの構成タンパク質成分をベイトにして酵母細胞からさまざまなSpliceosome関連RNP複合体を分離した。この複合体からフェノール/クロロホルム抽出法によってタンパク質成分とRNA成分を回収して、それぞれをゲル電気泳動で分離し、タンパク質バンドはトリプシン、RNAバンドはRNase T1で消化したのち、ペプチド断片は従来のプロテオミクス解析法、RNA断片は現在開発中のnanoLC-Orbitrap MS/MS-Ariadneシステムで解析した。その結果、プロテオミクス解析では従来知られているsnRNP複合体の構成成分のほとんどを同定し、またRNA成分の分析では、それぞれのRNP複合体を構成する主要なU snRNA(U4, U5L/S, U6など)を同定することができた。さらに、例えばU4 snRNAの解析ではトリメチルグアノシンキャップを含む5’末端フラグメントが検出できた。またU4やU6 snRNAの解析では、試料としたsnRNP複合体の中に3’末端に存在する反復U配列が不均一なU4/U6 snRNA分子種が存在することを明らかにできた。以上の結果は質量分析法を用いるRNP解析法が細胞機能を担うさまざまなRNP複合体の構成成分の同定と化学構造の解析に有用であることを示唆している。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205640572160
  • NII論文ID
    130007000288
  • DOI
    10.14889/jhupo.2009.0.10.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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