土壌細菌群集に対する放射線の影響評価

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タイトル別名
  • Effects of gamma-irradiation on soil bacterial community

抄録

土壌には非常に多くの細菌が生息している。これら細菌は、栄養塩の循環、有機物の分解、土壌構造形成、そして植物の成長促進等に寄与しており、土壌生態系において重要な役割を担っている。細菌に対する放射線の影響研究は、従来、単離された、そして培養できる細菌を用い行われてきた。しかしながら、自然界に生息する細菌の大部分は単離培養する方法が確立されておらず、単独では実験系で利用することができない。つまり、自然界に生息する細菌の放射線感受性については、ほとんど知見がないと言える。近年、培養に依存せず、細菌のゲノムや遺伝子などを直接解析し自然環境中に生息する細菌群集の多様性や群集構造を理解する研究が広く行われるようになってきた。本研究では、細菌の16S rRNA遺伝子配列を標的とした変性剤濃度勾配ゲル電気泳動法(denaturing gradient gel electrophoresis; DGGE)を用い、土壌細菌群集のガンマ線に対する影響評価を行った。<BR>  水田より土壌を採取し、井戸水で湛水した。この湛水土壌にγ線を連続的に10日間、1 Gy/dayの線量率で照射し続けた。コントロールはガンマ線を鉛で遮へいした。照射後、土壌からDNAを抽出し、PCRで16S rDNAを増幅後、DGGE解析を行った。<BR>  DGGE解析の結果、照射サンプルにおいてコントロールサンプルでは見られないバンドが数本観察された。この結果は照射サンプルとコントロール間で土壌細菌の種組成が異なることを意味している。10 Gy程度のガンマ線により引き起こされたこの変化は、自然界の土壌細菌は従来考えられていた以上に放射線に対する感受性が高いことを示唆している。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205641193472
  • NII論文ID
    130007000737
  • DOI
    10.11513/jrrsabst.2007.0.81.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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