線虫<I>C.elegans</I> における紫外線感受性株<I>rad-8</I>のエネルギー代謝異常

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タイトル別名
  • Energy metabolism abnormality of ultraviolet irradiation sensitive mutant <I>rad-8</I> in <I>C.elegans</I>

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線虫C. elegansrad-8は紫外線高感受性として分離されたが1)、我々は酸素にも高い感受性を示すことを見出している2)。活性酸素による酸化ストレスは、放射線と同様に細胞内構成成分に傷害を与え、その結果、癌をはじめとする様々な疾患や老化を引き起こすと考えられている。生体内から生じる酸化ストレスはミトコンドリアからの活性酸素が大半を占めることが知られている。ミトコンドリアは細胞内のエネルギー産生源である一方で活性酸素の産生やアポトーシスの制御にも関与している。rad-8の酸素高感受性にミトコンドリアが関わっているかどうかを調べるために、ミトコンドリアからの、1)活性酸素量(O2-)、2) 酸化タンパク質、および3)胚発生期のアポトーシス量、4)成長速度、5)エネルギー代謝量(酸素消費量)について解析を行った。その結果、抽出したミトコンドリアからのO2-量は、rad-8では野生株に比べて有意に上昇していることを確認した。さらにO2-によって引き起こされる酸化蛋白質の蓄積も上昇し、アポトーシスも増加していた。一方、エネルギー代謝は低下しており成長も遅延、さらに成虫の体のサイズも小型であった。以上のことは、rad-8の原因遺伝子の機能がミトコンドリアに関与していることを示唆し、この遺伝子変異によりエネルギー代謝に異常が生じることで酸化ストレスの増大、アポトーシスの増加などの特徴が現れると考えられる。<BR> <BR> 参考文献<BR> 1) Hartman PS et al., Genetics 102:157-178, 1982<BR> 2) Ishii N, et al., Mech. Ageing Develop. 68: 1-10, 1993

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