ラドンミスト発生装置によるラドン効果と温熱効果の比較に関する基礎的検討

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  • Biochemical comparison between radon effects and thermal effects on humans using radon and mist generator

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抄録

【目的】我々はラドン療法による変形性関節症などの適応症の症状緩和に関し現象を確認するとともに、その機構を解明しつつある。他方、三朝ラドン温泉療法レベル(約2000 Bq/m3)のラドン濃度を再現することは難しい。このため、規制値以下のラドンミストを発生させる装置を製作した((株)尾図計画(岡山)との共同開発)。本装置を用い、今回は高血圧症に対するラドン効果と温熱効果の比較に関して基礎的検討をした。【方法】高血圧症と正常血圧の各被験者(各8名)は、1日計30分、隔日にラドン浴室(1496 Bq/m3、30℃(以下、ラドン群))あるいは温熱浴室(ラドン濃度;33 Bq/m3、室温;42℃(以下;温熱群))に横臥し吸浴した。試験前(対照)、試験開始2、4週間目のそれぞれの吸浴後に採血し、試料に供した。また、血圧は毎回の吸浴前に測定した。【結果例】1)高血圧症の被験者の最高血圧と最低血圧がともにラドン群、温熱群いずれも有意に降圧し正常血圧(基準値内)になった。2)血管拡張作用やNa利尿作用のあるhuman atrial natriuretic polypeptide (hANP)は、両被験者ともに試験開始4週間後にラドン群の方が温熱群に比べ基準値内で有意に増加した。3)抗利尿作用を有するホルモンであるarginine vasopressin (AVP)の値は、試験開始4週間後に高血圧症の被験者のラドン群のみで有意に減少し基準値に近づいた。【考察】本吸浴条件の場合、温熱群・ラドン群ともに高血圧症の被験者のみに対し、血圧降圧作用のあることが示唆できた。これは、ラドン群でhANPとAVPが作用していることが示唆できた。三朝ラドン温泉療法での同様の試験結果と比べ、今回は室温が相対的に6℃低い条件下で実施したため、ラドン効果の程度が前回に比べ小幅であることがわかった。本報告では、ラドン効果と温熱効果の相乗効果などについても言及する。

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