先天性異常とその他疾患(腫瘍を除く)による乳児(1才未満)死亡の地域変動

DOI
  • 吉本 泰彦
    放射線医学総合研究所 放射線防護研究センター

書誌事項

タイトル別名
  • Geographical Variation for Infant Mortality (age<1 year) from Congenital Anomalies and Other Diseases excluding neoplasm

この論文をさがす

抄録

[目的]原発など環境汚染源による乳児(1歳未満)先天性異常の増加の懸念がしばしば見られる。地理的相関研究による環境汚染源周辺の先天性異常死亡率の暦年・地域変動の適切な理解を図る。[資料]主に人口動態統計の出生数と乳児死亡数に基づく都道府県別1972-2007年死亡率データ。1972年は沖縄県を含まない。[方法]便宜上、7期間、6地方ブロックによる乳児死亡率の標準化死亡比SMR(全国死亡率を基準)の暦年・地域変動をポアソン回帰モデルで解析。先天性異常及び腫瘍を除く疾患を周産期発生病態起源と非周産期発生病態起源の死因グループとした。[結果]日本全国の一般乳児死亡率は経年的に減少しているが、特に早期新生児死亡と周産期発生病態起源死因グループの関連は近年ほど強くなった。先天性異常とその他疾患(腫瘍を除く)の6地方ブロックによる地域変動は異なっている。早期新生児死亡と先天性異常の関連は、染色体異常ではみられないが、染色体異常を除く非循環器系で、特に第IV期(1988-92年)以降明瞭である。最近の第VII期(2003-07年)では、その他疾患の6地方ブロックによる地域変動は全体としては見られないが、乳幼児突然死症候群で見られる。乳児死亡数の減少は小地域単位死亡率の歴年変動の適切な理解を困難なものにしているが、平常時の環境汚染源周辺の乳児先天性異常死亡の潜在的リスクは大変小さい。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ