粉体化合物の吸入毒性試験における炭酸カルシウム(CaCO<SUB>3</SUB>)の媒体としての有用性

DOI

書誌事項

タイトル別名
  • Availability of CaCO<SUB>3</SUB> as vehicle in inhalation toxicity study with fine particle

抄録

【目的】吸入毒性試験では、曝露濃度を自由に調整する必要がある。粘性液体の化合物では、溶媒を用いることで比較的容易に濃度をコントロールできるが、粉体については、有用な媒体が少ないこともあり、濃度調整が困難な場合が多い。今回、食品添加物などに用いられているCaCO3に着眼し、粉体化合物の吸入毒性試験におけるその有用性を検討したので報告する。<BR>【方法】実験1: 2種の粒子形状が異なるCaCO3(立方体状粒子と針状粒子)の単独噴射ならびに混合噴射の濃度比較を吸入毒性試験条件下で吸入鼻部曝露装置を用いて行った。実験2:雌雄ラット(Crj:CD(SD)IGS系、8週齢)を用いて、上記装置にてCaCO3の4時間連続曝露(単回)を行い、重量気中濃度測定、粒子径測定、症状観察、体重測定、剖検ならびに病理組織学的検査(呼吸器系のみ)を行った。<BR>【結果】実験1:平均重量気中濃度は、単独噴射では600mg/m3、混合噴射では3320mg/m3であり、混合噴射の方が高い濃度が得られた。実験2:平均重量気中濃度は1390mg/m3、平均粒子径は2.8μmであった。この条件下で症状、体重、剖検ならびに病理組織学的検査について、CaCO3による影響は認められず、空気対照群と比較し、変化は認められなかった。<BR>【まとめ】粉体化合物を用いた吸入曝露試験を行う際、化合物の単独噴射に比べ、媒体を用いて噴射した方が高濃度(約5倍)の曝露濃度を得やすいものと考えられた。また、今回、CaCO3を用いた単回吸入曝露を行ったところ、ラットへの影響もみられなかった。この結果から、CaCO3を媒体として用いた場合、それ自体に生体への有害な影響がなく、かつ曝露濃度を調整しやすい効果が期待できることからその有用性が高いことが示唆された。<BR>

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205657167744
  • NII論文ID
    130007002703
  • DOI
    10.14869/toxp.33.0.78.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

問題の指摘

ページトップへ