代謝物を考慮した薬物誘導性肝障害の予測試験系の検討
書誌事項
- タイトル別名
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- Approaches for the prediction of metabolism-mediated drug-induced liver injury
抄録
薬物代謝の研究領域の進展に伴い,医薬品の予期せぬ副作用を回避する手段の一つとして,代謝物の安全性評価に関心が集まってい る。臨床で使用されている8割以上の薬が,何らかの代謝反応を受けて尿や胆汁中に排泄される。開発化合物の代謝過程に質的または 量的な種差を認める場合,とりわけヒト特異的な代謝物や反応性代謝物の生成が推定される場合には,安全性のより詳しい検討が必要 である。一般に特異体質性に分類される毒性は,投与量非依存的に発現し,発現頻度は低く,薬物暴露後の発現までに時間を要し,反 応性代謝物の介在が示唆されるが,多くの場合にはその構造や生成機序を明らかにすることは困難である。また,代謝物を同定・合成・ 投与できた場合でも,代謝物の動態特性が異なるために,毒性評価ができない場合が考えられる。<BR> 反応性代謝物の生成過程には様々な経路があるものの,解毒経路は主にグルタチオン(GSH)抱合反応によって触媒されると考えられ る。よって,網羅的なGSH付加体の定量試験が一般化してきたが,in vivo予測性との相関等に問題がある場合もあり,さらに予測性 が高いin vitroおよびin vivo試験系の開発が望まれている。<BR> 我々はGSH合成能をノックダウンし,その含量をヒトと同程度まで抑制したモデルラットや,SOD2をノックダウンしたラットモデ ル作出し,薬物誘導性肝障害を高感度に検出できることを示した。さらに,培養細胞にCYP3A4などのヒトCYP分子種を任意の発現レ ベルで発現させ,同時に解毒を担うGSH合成,またはNrf2発現をノックダウンした系を構築し,高感度で安定的なスクリーニングが 出来ることを示した。免疫学的因子の関与も大きいことが明らかにされつつあり,我々は,Th17細胞がハロタン肝障害に関与してい ることを,マウスを用いて示した。さらに培養細胞を用いた系などについても紹介する。
収録刊行物
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- 日本トキシコロジー学会学術年会
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日本トキシコロジー学会学術年会 37 (0), 29-29, 2010
日本毒性学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205658064384
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- NII論文ID
- 130007003248
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可