Wistar Hannover(GALAS)ラットにみられた遺伝的矮小症の中枢神経系における病理組織学的検索
書誌事項
- タイトル別名
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- Histopathological Study of the Central Nervous System in Hereditary Dwarf Rats Derived from Wistar Hannover(GALAS) Rats
説明
【背景・目的】当施設で交配されたWistar Hannover(GALAS)ラットの仔の中に矮小症を発見し,現在も維持している.このラットは顕著な甲状腺ホルモンの低値と甲状腺刺激ホルモンの高値を示す.土居ら(2004),爰島ら(2007)は甲状腺,下垂体,骨組織を病理組織学的に検討し,本症の病態は原発性甲状腺機能低下症に起因するとした.今回,我々は,甲状腺ホルモンが中枢神経系で髄鞘を形成する希突起膠細胞の発育及び維持に強く影響することから,矮小症ラットの中枢神経について病理学的に検討したので報告する.【方法】5週齢(雌4例),9週齢(雄3例,雌2例),45週齢(雌雄各2例)の矮小症ラット及び同週齢の正常なWistar Hannover(GALAS)ラットの脳,脊髄について,HE染色,ルクソールファストブルー(LFB)染色を行った.髄鞘及び希突起膠細胞の組織変化及び分布を検索するために抗2',3'cyclic nucleotide 3'phosphodiesterase (CNP)抗体,抗myeline basic protein (MBP)抗体,抗myelin proteolipid protein (PLP)抗体,抗galactocerebroside抗体を一次抗体に用いた免疫染色を行った.また,CNP染色標本で大脳の任意の部位のCNP陽性細胞数をカウントした.【結果】矮小症ラットの大脳には,LBF染色において,全体的に染色性の低下が認められ,特に脳梁で顕著であった.免疫染色では,抗CNP抗体が髄鞘及び希突起膠細胞の細胞質に,抗MBP,PLP抗体が髄鞘に陽性を示した.これらの免疫染色標本上では,正常動物の脳梁と比べて,矮小症ラットでは陽性部位が疎であった.また,CNP陽性希突起膠細胞数は5週齢では正常ラットと比較して減少傾向にあった.これらの結果より,矮小症ラットの髄鞘及び希突起膠細胞には甲状腺機能低下症に起因する何らかの形態的,機能的異常が存在する可能性が示唆された.現在,髄鞘及び希突起膠細胞の微細構造についても検討中である.
収録刊行物
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- 日本トキシコロジー学会学術年会
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日本トキシコロジー学会学術年会 35 (0), 119-119, 2008
日本毒性学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205658869120
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- NII論文ID
- 130007003776
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可