グルタチオン枯渇ラット初代培養肝細胞を用いた特異体質性薬物障害リスク評価

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タイトル別名
  • Risk evaluation of idiosyncratic drug toxicity using glutathione-depleted rat primary cultured hepatocytes

抄録

グルタチオンは求電子性物質の解毒や酸化ストレスの消去に関与するとともに,特異体質性薬物障害(IDT)の原因の1つと考えられる 反応性代謝物の代謝にも重要な役割を担っている。そのため,グルタチオンが枯渇した状態では反応性代謝物による反応が強く発現 されることが予想される。そこで,我々はL-buthionine sulfoximine(BSO)処理により細胞内グルタチオンを枯渇させたラット初代 培養肝細胞に対する化合物の細胞障害感受性の変化を評価するin vitro系を確立し,IDTリスクが予測可能か否かを検討した。評価に 用いた化合物は,IDTリスクが4つのカテゴリー(Withdrawn,Black-box warning,Warning,Safe)に分類されている42種を用い た(Nakayama et al., Drug Metab. Dispos., 37, 1970-1977, 2009)。その結果,42種の化合物のうち10種でグルタチオン枯渇 状態において細胞障害感受性が増強することを確認した。本評価系のIDTリスク検出率はWithdrawnカテゴリーで50%,Black-box warningカテゴリーで38%,Warningカテゴリーで22%であるのに対し,Safeカテゴリーの偽陽性率は8%に過ぎなく,この検出率と IDTリスクには相関性が認められた。また,本評価系においてグルタチオン枯渇状態で細胞障害感受性が増強した化合物のいくつかは, in vivoにおいてもグルタチオン枯渇状態で肝障害を引きおこすことが報告されており,本評価系はin vivoの代替法としても期待できる。 以上より,本評価系は一部のIDTリスクを予測することが可能であり,化合物最適化を行う開発初期のステージで実施するスクリーニ ングとして有用であることが示唆された。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205658904448
  • NII論文ID
    130007003807
  • DOI
    10.14869/toxp.37.0.207.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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