Crl:CD(SD)ラットの幼若期における背景データ:体重,器官重量,血液学的検査,血液生化学的検査及び病理組織学的検査成績

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タイトル別名
  • Background data of juvenile Crl: CD (SD) rats: body weight, organ weight, hematology, blood chemistry and histopathology

抄録

[目的]小児用医薬品開発に際して臨床試験前に幼若ラットを用いた毒性試験が実施される場合がある。発育遅延・促進が生じた際にど の程度の変化であるかの評価が必要であるが,幼若ラットの体重,器官重量,血液学的検査,血液生化学的検査及び病理組織学的検査 の経日的な観察の結果報告は少ない。そこで,幼若ラット毒性試験の背景データとすべく,生後0日齢から6週齢のラットに前述の検査 を実施した。[動物及び検査]雌雄各3~35匹のCrl:CD(SD)ラットを用いて,0,2,4,7,10,14,17,21,28,35及び42日齢時に, 体重,器官重量,血液学的検査,血液生化学的検査及び病理組織学的検査を実施した。[結果と考察]体重は21日齢以後に急激に増加した。 器官重量は,脳は早期に,肝臓,卵巣,子宮及び精巣は21日齢以後に顕著な増加を示したが,心臓,肺,脾臓,腎臓,胸腺及び副腎は 増加パターンに著変はなかった。赤血球数及び血小板数は経日的に増加したが増加パターンに特記変化はなく,MCV及び白血球数は 経日的な減少を,網状赤血球は一度増加した後に緩やかな減少を,Hbはほぼ一定の値を示した。血液生化学的検査では総蛋白,アル ブミン,グルコース及びALTは経日的な増加を,総ビリルビン,AST,ALP,LDH,CK及び無機リンは経日的な減少を,総コレステロール, BUN,K及びCaは一度増加した後に減少してほぼ一定の値を示した。以上の結果,器官により発達時期に,また,パラメータにより変 動パターンに差がみられた。病理組織学的検査では,成熟動物と同様の組織像を示す時期は,副腎で14日齢,大脳及び肺では21日齢, 小脳,心臓,肝臓及び腎臓では28日齢,卵巣及び子宮では35日齢であった。胸腺及び下垂体は出生後でも既に成熟像と考えられたが, 精巣は42日齢においても未成熟であった。以上の結果は,今後しばしば実施される幼若ラットを用いた毒性試験における背景データと して有用であり,また,発育の遅延や促進を判断する際の参考になると考えられた。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205658908928
  • NII論文ID
    130007003815
  • DOI
    10.14869/toxp.37.0.214.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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