フローサイトメトリー法によるラット腹腔内細胞分類の検討

DOI
  • 西尾 綾子
    信州大学 ヒト環境科学研究支援センター 動物実験部門
  • 友澤 寛
    信州大学 ヒト環境科学研究支援センター 動物実験部門
  • 坂田  孝
    シスメックス株式会社 科学計測事業部
  • 宮本  樹美代
    シスメックス株式会社 科学計測事業部
  • 小田  康雅
    シスメックス株式会社 科学計測事業部
  • 松本 清司
    信州大学 ヒト環境科学研究支援センター 動物実験部門

書誌事項

タイトル別名
  • Flow cytometry analysis for determing the cellular composition of intraperitoneal cells in rat

抄録

【目的】 腹腔内には免疫細胞が存在し、腸管免疫をはじめ炎症、免疫、アレルギーに深く関与していると考えられている。そのためマクロファージ等の腹腔内細胞を回収してさまざまな免疫機能解析等が研究されており、その初期検査として通常、回収細胞の分類が行われる。今回、自動血球分析装置を用いてラットの腹腔内細胞の自動分類を試みたので、その成績を報告する。<BR> 【実験方法】 供試動物としてSD(Sprague-Dawley)、BN(Brown Norway)及び好酸球増多症を自然発症するラット系(MES、BN.MES-eos1等)を用いた。なお、このMES系ラットは腹腔内の諸臓器で好酸球性炎症を発症することが分かっている。安楽死させたラットの腹腔内に注射用生理食塩水10mlを注入し、パスツールピペットで腹腔内細胞を回収した。この回収細胞を自動血球分析装置(XT-2000iV :Sysmex)で測定・解析するとともに、サイトスピン法(600rpmで10分間遠心)により同サンプルの細胞塗抹標本を作製(メイ・ギムザ染色)し、顕微鏡下(目視法)で細胞を分類した。細胞分類の精度は、30例の分類結果(単球・マクロファージ、肥満細胞、好中球、好酸球、リンパ球)について目視法と自動血球分析装置の相関性を検討することによった。再現性は、同一サンプルの繰り返し測定(5回)を行い評価した。また、希釈直線性(2~16倍)、検体採取後の保存安定性についても検討した。<BR> 【結果および結論】 目視法と自動血球分析装置の相関性は、出現頻度の高いリンパ球、単球・マクロファージ、好酸球及び肥満細胞で良好な成績が得られた。再現性、希釈直線性についても、問題はなかった。以上、今後更に例数を増やし検討する必要はあるが、これまでの血液以外への応用成績を考慮すると、本装置はラット腹腔内細胞の分類に使用可能と考えられた。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205659081472
  • NII論文ID
    130007003985
  • DOI
    10.14869/toxp.34.0.5138.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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