共有結合量による特異体質性肝毒性リスク評価系の確立 ~<SUP>3</SUP>H標識体の有用性の検討~
書誌事項
- タイトル別名
-
- Evaluation of the potential for idiosyncratic drug-induced liver injury based on in vitro covalent binding
抄録
【背景・目的】特異体質性肝毒性は,ヒトでの発現確率は低いが時に致死的な症状を示す副作用の一つで,薬物の反応性代謝物生成とそ れに続いて起こるタンパクへの共有結合が原因の一つと考えられている。現在,リスク評価のために,タンパクへの共有結合量測定が 実施されているが,その妥当性は明らかではない。また,共有結合量測定には通常14C標識化合物が用いられるが,合成に要する時間 やコストの問題から開発化合物が絞られた段階で合成されることが多い。一方,比較的合成リソースの小さい3H標識体は,創薬の早期 において複数の候補化合物について合成できるが,同位体交換が共有結合量に影響する可能性がある。そこで本研究では(1)共有結合 量によって肝毒性のリスク評価が可能であるか,(2)3H標識体が共有結合評価に利用可能であるか,について検討を行った。【方法】(1) 特異体質性肝毒性の陽性および陰性化合物を,ヒト肝ミクロソームもしくは凍結肝細胞とインキュベーションし,タンパクへの共有結 合量をガラスフィルター法で測定した。(2)同一化合物の3H標識体および14C標識体でのタンパク共有結合量を測定した。【結果】(1)陽 性と陰性化合物の共有結合量には,明確な差異は確認できなかった。しかし,共有結合量に一日投与量を乗ずることで,陽性と陰性化 合物が区別できることが明らかとなった。(2)3H標識体での共有結合量は,同一化合物の14C標識体での共有結合量に比べて低かった。 しかし,フィルター濾過された反応液の蒸発乾固における消失放射能を加味することで,同等の値が算出されることが確認された。【結 論】開発化合物の共有結合量を測定し,その一日推定投与量をかけ合わせることで,肝毒性リスクを判定できることが明らかとなった。 また,3H標識体でも共有結合量が算出できることが明らかとなり,より早期の評価に有用であることが示唆された。
収録刊行物
-
- 日本トキシコロジー学会学術年会
-
日本トキシコロジー学会学術年会 37 (0), 104-104, 2010
日本毒性学会
- Tweet
キーワード
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390001205659229824
-
- NII論文ID
- 130007004067
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可