DNA蛍光染色剤を用いたラット胸腺,脾臓および骨髄の免疫・造血系細胞のフローサイト解析法
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- 倉田 昌明
- ファイザー株式会社,中央研究所,安全性研究統括部,毒性研究室
書誌事項
- タイトル別名
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- Flow cytometric analysis of immunocytes and hematopoietic cells from rat thymus, spleen and bone marrow using a fluorescent stain for DNA
説明
目的: DNA蛍光染色剤DRAQ5は,生きた細胞の核に結合し,その蛍光は赤色波長域で検出される。このDNA染色剤は有核細胞を染色するため,通常実施される測定前の溶血処置(NH4Clなどによる溶血処置)を省くことができる。今回,DNA蛍光染色剤を用いたラット胸腺,脾臓および骨髄の免疫・造血系細胞のフローサイト解析について検討を行った。<BR>方法:胸腺,脾臓および骨髄(大腿骨)はCrl:CD(SD)系ラットより得た。胸腺と脾臓からの細胞回収にはCell Strainerを用いた。細胞をリン酸緩衝生理食塩液(3%牛血清含有)に浮遊させ,各種蛍光標識抗体を加えた。一定時間後に遠心洗浄し,DRAQ5を加えた後,フローサイトメーター(Coulter Cytomics FC500)で測定・解析した。<BR>結果:胸腺,脾臓および骨髄のいずれにおいても,DRAQ5により有核細胞集団を区分できた。この集団について,CD3-FITC陽性細胞(Tリンパ球),CD45RA-PE陽性細胞(Bリンパ球),CD161a-PE陽性細胞(NK細胞)を分類することができた。脾臓と骨髄については,CD11b/c-FITCとCD71-PEにて,顆粒球系と赤芽球系細胞の分類も可能であった。胸腺については,CD4-PEおよびCD8a-FITCにて,CD4とCD8の陰性・陽性細胞を分類できた。いずれの解析でも,FL1(FITC標識),FL2(PE標識)およびFL4(DRAQ5染色)のコンペンセーション上の問題はみられなかった。<BR>結論:今回の成績は,DNA蛍光染色と蛍光標識抗体を用いることで,ラットの胸腺,脾臓および骨髄について,各種の免疫・造血系細胞の分類が可能であることを示している。測定前の溶血処置を行わない本方法は,毒性試験へのフローサイト適応において,簡便性の面で有用である思われる。
収録刊行物
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- 日本トキシコロジー学会学術年会
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日本トキシコロジー学会学術年会 33 (0), 238-238, 2006
日本毒性学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205659518464
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- NII論文ID
- 130007004247
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可