ニセクロハツには5型がある

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  • Russula subnigricans consists of the five genetic species

抄録

ニセクロハツには5型がある<BR> *下野義人1)・広井勝2) ・上田俊穂3) ・後藤康彦4) ・高松進5)1)大阪府<BR>立香里丘高;2)郡山女子大;3)長岡京市;4)我孫子市;5)三重大生資)<BR>        Russula subnigricans consists of the five genetic species, by *Y.Shimono1),<BR> M.Hiroi2), T.Ueda3), Y.Goto4), S.Takamatsu5)(1)Kourigaoka H. S.; 2) Koriyama<BR> Women’s col.; 3) Nagaokakyou City; 4) Abiko City; 5) Mie Univ.)<BR>  ニセクロハツは子実体に触れたり,傷つけたり,あるいは子実体を切断すると,その部分が赤変したままで,クロハツやクロハツモドキのように赤変後,黒変しないきのこである.リボソームDNAの28SおよびITS領域に基づいたクロハツ節の解析結果から,クロハツは3型に,クロハツモドキは9型に,ニセクロハツは5型にそれぞれ分かれた.ここではニセクロハツの分子系統解析の結果,子実体の巨視的な形態的特徴・顕微鏡的な特徴に関して,報告する.<BR>  28Sを用いた分子系統解析ではニセクロハツは大きなグループを作り,遺伝的に異なった5群(型)に分かれた.しかし,ITS領域の解析ではニセクロハツの3型(B-2,B-3,B-4)は同一群に属したが,それ以外の2型(B-1,B-5)は3型と同じ群に属さなかった.タイプ標本を含むB-1はクロハツと同じ群を形成した.<BR>  子実体の巨視的な形態観察ではヒダが細かくて柄が長いB-2,ヒダの赤変性が強いB-3など,型間に違いが見られた.顕微鏡的な特徴では胞子の表面構造やカサの表皮の状態が,タイプ標本を含むB-1とB-3との間で明らかに異なった.<BR>  以上のことから,分子系統解析で得られた5型間に子実体の巨視的な,あるいは顕微鏡的な特徴の違いが見られたので,B-2やB-3はニセクロハツの別種か,あるいは変種と考えることができる.

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205660817152
  • NII論文ID
    130007004783
  • DOI
    10.11556/msj7abst.53.0.41.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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