建物のコンクリート表面に生えるカビについて

書誌事項

タイトル別名
  • Fungi grown on a surface of concrete in the building

説明

コンクリートは,材質が無機質であり,アルカリ性であることから,コンクリートそのものに対してカビ(真菌)が生えることはないとされてきた.屋外では,ほこりの付着,降雨による汚れの付着,藻類や細菌の繁殖によって,カビの栄養分が供給されたことで,その後,カビが生えると報告されている.しかし,地下駐車場のように屋内と屋外の中間的な環境や,結露が生じた室内空間のコンクリート表面で,カビの発生についての報告はほとんどない.そこで,屋内で比較的湿った環境のコンクリート表面のカビの調査を行った.その結果,光学顕微鏡での観察では,多少日光が差し込み,表面が緑の斑点で汚れている所では緑藻類と思われる細胞が観察されたが,日光がほとんど差し込まない地下駐車場の柱では,緑藻類と思われる細胞は確認できなかった.培養による調査では,地下駐車場のコンクリート壁面からはクロカビ(Cladosporium)が優占種として検出され,そのほか,アオカビ(Penicillium)やコウジカビ(Aspergillus),ニグロスポラ(Nigrospora),アルスリニウム(Arthrinium)が検出された.地下1階階段下の夏期には結露が発生しやすいコンクリート表面からは,優占種としてコウジカビが検出され,そのほかエンギオドンチウム属(Engyodontium album)と同定された白いカビが多く検出された.以上の結果から,比較的湿った環境の汚れの目立たないコンクリート表面でも,カビが繁殖していることが確認された.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205661368192
  • NII論文ID
    130007004842
  • DOI
    10.11556/msj7abst.55.0.33.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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