北日本産ヌメリガサ科菌類に関する研究 1. アカヤマタケ属の2新種および2日本未記録菌について

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  • Hygrophoraceae of northern Japan 1. Two new species and two new records of Hygrocybe from Japan

抄録

青森市郊外の林内あるいは草地で採集された, アカヤマタケ属 (Hygrocybe) の2新種ならびに日本未記録の1種および1変種について報告する.1)Hygrocybe roseola (sp. nov.)-アケボノオトメノカサ(新称):子実体は類白色で, 傘に粘性があり,ひだ実質は錯綜型.オトメノカサH. virginea (= Camarophyllus virgineus) に類似するが,傘は中央部で淡紅色を帯び,カラマツ林に発生する.オトメノカサ属 (Camarophyllus ss. Singer) の菌であるが、Arnold (1990),Boertmann (1996) らの属の概念を採用し本属に置いた.2)Hygrocybe granulosipes (sp. nov.)-ツブエノシロヤマタケ:子実体は類白色,傘は鈍頭で粘性があり,柄に粒状鱗片がある.ひだ実質は類並列型.本種はシロヒガサH. pantoleuca に類似するが,同種は傘が白色で,柄に鱗片がないなどの点で異なる.北アメリカおよびヨーロッパに分布するH. fornicata (Fr.) Singer var. fornicateも傘の色や,ひだ実質の特徴において本種に類似するが,同種は柄に鱗片を欠き,傘に粘性がない.Arnolds, Boertmann らの分類ではPseudohygrocybe 亜属に置かれる.しかし,傘が粘性で類白色な特徴をもつ本種を収容する節は同亜属中に見当たらない.3)Hygrocybe nitrata (Pers.) Wünsche-ニオイヒメノカサ(新称):傘は灰褐色で,柄は灰白色,肉に強い不快臭がある.ひだ実質は類並列型.オオヒメノカサH. ovinaは本種によく似るが,肉が傷を受けると赤く変色し,また強い不快臭がないことで区別できる.4)Hygrocybe conica var. chloroides (Malençon) M. Bon-スミゾメキヤマタケ(新称):傘は円錐形,オリーブ黄色で,傷を受けると黒く変色する.担子器は2胞子性.ひだ実質は並列型.草地に発生し,傘が初めからオリーブ黄色を帯びている点を除けばアカヤマタケH. conicaに極めて類似している.

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  • CRID
    1390001205662566656
  • NII論文ID
    130007005139
  • DOI
    10.11556/msj7abst.51.0.73.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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