ショウロ担子胞子の成熟過程における微細構造変化
書誌事項
- タイトル別名
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- Ultrastructure of developing basidiospores in Rhizopogon roseolus (=R. rubescens)
説明
ショウロ(Rhizopogon roseolus (= R. rubescens)) は海岸クロマツ植栽林に発生する代表的な食用きのこである.本菌を安定的に生産するためには,宿主クロマツ樹木へのショウロ菌の接種技術の開発,さらには,優良菌株の育種が望まれる.演者らは本菌を交雑育種することを目的に,生活環の解明に着手している.しかし,本菌の胞子形成や離脱様式,また,離脱後の胞子成熟など不明な点が多い.そこで,走査型および透過型電子顕微鏡を用いて,ショウロ担子胞子の形成から成熟に至る過程を経時的に調査し,基礎的知見を得ることを試みた.ショウロの胞子は楕円形で基本的には8つの胞子が担子器の小柄に形成されていた.担子器内の細胞質が小柄を介して流動することによって胞子が形成された.低電子密度隔壁の形成によって小柄と胞子の細胞質が隔絶され,その後の小柄と担子器の崩壊によって胞子が離脱した.離脱直後の胞子では小柄の残骸が観察された.胞子離脱後の微細構造変化は油球と胞子壁で顕著に認められた.成熟に伴い油球が形成され膨張した.離脱前の胞子壁は単層で低電子密度であったが,離脱後は内壁に高電子密度の沈着を有する2層で構成され,その沈着物は第3の高電子密度層を形成した.成熟した胞子壁は4層構造を呈し,外側の低電子密度の2重層,まだらな高電子密度の第3層,そして低電子密度の粒状物質が分散している低電子密度の第4層で構成されていた.本菌の生息域は海岸砂丘地帯といった過酷な条件であるが,今回明らかにした胞子の微細構造はそのような環境に応じた構造であると思われた.
収録刊行物
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- 日本菌学会大会講演要旨集
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日本菌学会大会講演要旨集 52 (0), 110-110, 2008
日本菌学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205662709376
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- NII論文ID
- 130007005199
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可