認知症の有無が高齢心不全例の日常生活活動・心機能・腎機能・貧血に及ぼす影響について
この論文をさがす
抄録
【目的】<BR> 認知症は,心不全で再入院する原因の一つである.当院においても高齢心不全例で認知症を有する場合も少なくない.今回,当院に入院してリハビリテーション(以下,リハ)を行った高齢心不全例の認知症の有無が日常生活活動(以下,ADL)・心機能・腎機能・貧血に及ぼす影響について検討したので報告する.<BR> 【対象】<BR> 2009年1月1日~12月31日までの間に入院し,循環器科からリハが依頼された高齢心不全例のうち,入院前・リハ開始時の障害老人の日常生活自立度 (以下,寝たきり度)がランクJ1~C1,リハ開始時の痴呆老人の日常生活自立度 (以下,認知症度)がランクI~IVの23例を対象とした.<BR> 【方法】<BR> 認知症無しと認知症度ランクI~IIbの13例を認知症無し群,認知症度ランクIIIa~IVの10例を認知症有り群とした.ADLの評価は寝たきり度を用い,心機能・腎機能・貧血の評価は脳性ナトリウム利尿ペプチド(以下,BNP)値・推定糸球体濾過率(以下,eGFR)・ヘモグロビン(以下,Hb)値を用いた.認知症(認知症無し群,認知症有り群)と入院前からリハ終了時の寝たきり度の変化(改善,悪化),リハ開始時からリハ終了時のBNP値の変化(改善,悪化)・eGFRの変化(改善,悪化)・Hb値の変化(改善,悪化)との関連を検討した.なお,各検討項目で変化のなかった値については悪化として統計処理を行った.統計処理はχ二乗検定を用い,有意水準を5%とした.<BR> 【結果】<BR> 認知症(認知症無し群,認知症有り群)と寝たきり度の変化との間に有意な関連を認めたが,BNP値の変化・eGFRの変化・Hb値の変化との間には有意な関連を認めなかった.<BR> 【考察】<BR> 認知症の無い高齢心不全例ではADL改善の可能性があることが,認知症の有る高齢心不全例ではADL低下のリスクがあることが示唆された.
収録刊行物
-
- 東海北陸理学療法学術大会誌
-
東海北陸理学療法学術大会誌 26 (0), 134-134, 2010
東海北陸理学療法学術大会
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1390001205665945216
-
- NII論文ID
- 130007005412
-
- 本文言語コード
- ja
-
- データソース種別
-
- JaLC
- CiNii Articles
-
- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可