高齢者の心腎貧血症候群の予後に影響する因子について

DOI
  • 樋口 恵
    医療法人清水会 相生山病院 リハビリテーション科
  • 鳥居 亮
    医療法人清水会 相生山病院 リハビリテーション科
  • 村瀬 政信
    医療法人清水会 相生山病院 リハビリテーション科
  • 本庄 正博
    医療法人清水会 相生山病院 リハビリテーション科
  • 三次 園子
    医療法人清水会 相生山病院 リハビリテーション科
  • 木下 友加里
    医療法人清水会 相生山病院 リハビリテーション科
  • 深谷 圭馬
    医療法人清水会 相生山病院 リハビリテーション科
  • 福田 朋子
    医療法人清水会 相生山病院 リハビリテーション科
  • 服部 幸介
    医療法人清水会 相生山病院 リハビリテーション科

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抄録

【目的】心腎貧血症候群(以下,CRA症候群)は,心不全,慢性腎臓病,貧血が影響し合い悪循環を形成するという概念であり,近年注目されている.しかし,高齢者のCRA症候群を調査した報告は少ない.本研究では,高齢者のCRA症候群のリハビリテーション(以下,リハ)開始時におけるデータを調査し,予後に影響する因子を検討した.<BR> 【方法】2009年1月から12月の期間に当院に在院し,リハが処方された65歳以上で,入院前の障害老人の日常生活自立度(以下,寝たきり度)がランクA1からB2までのCRA症候群26例(年齢85±7歳)を対象とした.なお本研究では,脳性ナトリウム利尿ペプチド(以下,BNP)値200pg/mL以上,推定糸球体濾過率(以下,eGFR)60mL/min/1.73m2未満,ヘモグロビン(以下,Hb)値11g/dL以下をCRA症候群とした.対象のうち,入院前に比べ退院時の寝たきり度が向上,または維持した14例を回復群とし,入院前に比べ退院時の寝たきり度が低下,または入院中死亡した12例を低下群とした.予後に影響する因子として,年齢(90歳未満,90歳以上),認知症(あり,なし),リハ開始時のBNP値(500pg/mL未満,500pg/mL以上)・eGFR(30mL/min/1.73m2未満,30mL/min/1.73 m2以上)・Hb値(10g/dL未満,10g/dL以上)を調査した.各因子について回復群,低下群との関連をχ二乗検定にて検討し,有意水準を5%とした.<BR> 【結果】年齢について回復群,低下群との間に有意な関連が認められた.その他の因子については有意な関連が認められなかった.<BR> 【考察】CRA症候群のリハは,90歳未満であれば入院前の日常生活活動に回復させることを目標とし,90歳以上であれば入院前の日常生活活動に回復できないことを念頭において,無理なく実施すると良いと考えられた.

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