視野狭窄者の横スキャニングが視覚的形態認知に及ぼす影響
説明
<br>【目的】視野狭窄患者が視覚探索を行う際の方法として、ロービジョン訓練では規則性をもって眼を動かすことで探索漏れを防ぐ理由と、眼球が水平運動で比較的スムーズに動きやすい特性を活かし、横スキャニングを行うよう指導している。しかし、関口らは、縦方向の位置情報が視野狭窄によって影響されるかもしれないということを正常被験者に視野狭窄シミュレーションゴーグル(以下SG)を用いて実験的に示した。そこで、今回は楕円視標を用いて、視野狭窄患者の横スキャニングが視覚的形態認知に影響を与えるかどうかを同様の方法を用いて検討した。<br><br>【対象と方法】 対象は、矯正視力1.0以上で屈折異常以外に眼疾患を有しない正常被験者3名とした。SGを装用し、視野狭窄条件を「制限なし、10度、7.5度、5度、3度」の5条件で測定した。歪み率を『(縦径―横径)/(縦径+横径)×100(%)』で定義し、歪み率を-10~+10(%)の1%刻みで楕円視標を作成した。刺激サイズは、10度、20度、40度とし、各サイズそれぞれ22個(0%は2個)、全体で66個の楕円をランダムな順で提示した。提示時間は3秒、刺激間隔は2秒であった。SGを装用し、①「縦長」と判断した場合、または、②「横長」と判断した場合にボタンを押し、反応時間を測定した(各視野狭窄条件で1回ずつ)。そして、ランダム系列を3種用意し同様に測定した。歪み率による反応時間の変化を「縦長」判断と「横長」判断で比較し、正円と判断する歪み率を求め、これが視野狭窄により変化するかについて検討した。<br><br>【結果】SG装用下で視野狭窄になるほど反応時間は遅くなったが、正円判断の歪み率には視野による系統的な変化はみられなかった。<br><br>【結論】今回の実験では視野狭窄による円形性判断への影響は認められず、横スキャニング探索を行っても視覚的形態認知には影響がないという可能性が示された。
収録刊行物
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- 日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集
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日本ロービジョン学会学術総会プログラム・抄録集 10 (0), 100-100, 2009
日本ロービジョン学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205666015744
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- NII論文ID
- 130007005516
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可