γ‐nail術後症例の股関節伸展可動域制限と座位姿勢の関連性についての一考察は
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【はじめに】 今回、γ‐nail術後の症例を担当した。股関節屈筋に有痛性の筋短縮を認め、持続伸張等試みるも改善みられず治療に難渋した。本症例は、座位姿勢が非対称的で、この座位姿勢が股関節可動域制限に影響しているものと推測した。評価、治療介入についてまとめ、考察を加え報告する。尚、症例には本研究の主旨を説明し、同意を得ている。 【症例紹介】 70歳代男性。診断名は右大腿骨転子部骨折、頸体角:125°。既往歴は両側変形性膝関節症に加え、7年前に左大腿骨頸部骨折、4年前に腰椎椎間板ヘルニアにて後方椎間板切除術施行。ADLはほぼ自立、歩行は四点杖軽介助。 【評価】 右股関節可動域:屈曲95°、伸展-15°。腰椎可動性低下し前弯平坦化。高筋緊張:右腸腰筋、右内転筋群、両側大腿筋膜張筋(以下:TFL)。低筋緊張:右腹筋群。Thomasテスト:陽性。VAS:8(他動運動での臥位股関節伸張時)。 座位姿勢は右骨盤後退、同側下肢外旋位、右肩甲帯下制し、座圧計(ニッタ株式会社製)による座位座圧中心は、右臀部に偏位。 【治療方針】 右側体幹後方傾斜し、姿勢制御のため右腸腰筋活動が上昇。持続的な筋収縮が、筋短縮と伸張時痛の原因と推測した。座位姿勢の対称性改善により、腸腰筋の活動性を軽減させ、効果的な筋伸張が可能になることを期待した。 【治療・結果】 座位にて骨盤のアライメント修正するなど、姿勢の対称性を整えるためのプログラムを加えた。約3週後、右股関節伸展-5°へ改善、座位姿勢は右骨盤後傾、同側下肢外旋改善。座圧計による座位座圧中心は中央付近に修正され、体幹後方傾斜が改善した。 【考察】 体幹の後方傾斜により、腸腰筋活動が上昇するという報告がある。体幹を正中位に保持するよう座位姿勢を修正したことで、腸腰筋の過剰活動と伸張時痛が軽減した。座位姿勢の対称性が腸腰筋の伸張に影響していたものと考える。
Journal
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- 東海北陸理学療法学術大会誌
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東海北陸理学療法学術大会誌 26 (0), 57-57, 2010
東海北陸理学療法学術大会
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205666025088
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- NII Article ID
- 130007005531
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- Text Lang
- ja
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- Data Source
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- JaLC
- CiNii Articles
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- Abstract License Flag
- Disallowed