重度脳卒中片麻痺患者における長下肢装具の使い方について

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  • 田中 敦
    医療法人 メディライフ 知多リハビリテーション病院 リハビリテーション部

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タイトル別名
  • ―クイックディスコネクトと従来型のネジ式を比較してー

抄録

【はじめに】 脳血管障害におけるリハビリテーション医療では、長下肢装具が早い段階から積極的に処方されることは少なく、理由として、着脱困難から日常生活で使用するには実用的でないことが挙げられる。そこで今回、ひとつの長下肢装具で、長下肢装具と短下肢装具の使い分けを容易にするクイックディスコネクトと従来型のネジ式を比較したので報告する。<BR> 【対象】平成18年4月から平成22年3月までに当院入院リハビリを行った脳卒中患者587例のうち初回発症患者で片側のみ長下肢装具を処方した重度脳卒中患者52例を対象とした。<BR> 【方法】連結部分にネジを使用した群16例(以下KAFOネジ群)と連結部分にクイックディスコネクトを使用した群36例(以下KAFOクイック群)に分けた。この両群を1)年齢、2)発症から長下肢装具出来上がりまでの日数、3)発症から回復期退院までの日数、4)長下肢装具から短下肢装具への移行率、5)入退院時のFIM合計の差についてそれぞれ比較検討した。統計学的処理についてはt検定、カイ自乗検定、Mann WhitneyのU検定を用いた。<BR> 【結果】1)年齢、2)発症から長下肢装具出来上がりまでの日数、3)発症から回復期退院までの日数では有意差は認められなかった。4)長下肢装具から短下肢装具への移行率では、KAFOネジ群37.5%でありKAFOクイック群75.0%であった。それぞれの2群間には有意差が認められた。(P<0.05) 5)入退院時のFIM合計の差については、KAFOネジ群の入院時FIM合計は45.6点、退院時60.2点であった。KAFOクイック群の入院時FIM合計は44.8点、退院時66.2点であった。それぞれのFIM差について有意差が認められた。(P<0.01)<BR> 【考察】重度な障害を呈していても、訓練場面では、長下肢装具で立位、歩行訓練を行い、日常場面では、短下肢装具で病棟生活を行う、この両者を併用することで、より早く機能改善を促し、ADLの自立度を高めていったと考えられる。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205666036224
  • NII論文ID
    130007005540
  • DOI
    10.11529/thpt.26.0.5.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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