軽度の片麻痺患者におけるマシントレーニングの介入効果

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抄録

【はじめに】今回、歩行安定性の低下を主訴とする脳梗塞後の軽度片麻痺患者に対し、週2回の通常の理学療法と週5回のトレーニングマシンを使用した運動(以下マシントレーニング)を順に実施し、それぞれの介入効果を比較したので報告する。<BR>【症例紹介】症例は約1年前に、脳梗塞で左片麻痺となった69歳の男性であった。既往症に高血圧があったが、現在は安定している。また、約2年前に脳出血があったが、後遺症は見られなかった。症例に対し本研究の目的を説明し、同意を得て実施した。<BR>【理学療法評価】Brunnstrom stageは左上下肢がstage6、左手指がstage5であった。MMTは左上下肢4であった。ROMは左足関節背屈が膝伸展位で5度であり、両膝に制限は見られなかった。FIMは119点で減点項目は階段と歩行であった。感覚障害として左手指にしびれがあった。痛みのある部位は見られなかった。歩行はT字杖歩行自立であるが、時に左足尖部の引きずりが見られた。<BR>【介入方法】介入期間をA期とB期に分け順に実施した。A期は3ヶ月間とし、週2回の理学療法で徒手によるROM運動・平行棒を使用したバランス練習などを1回当たり約30分実施した。B期は2ヶ月間とし、週5回のマシントレーニングのみを実施した。運動時間は1機種10分、それを4機種実施し、計40分であった。運動強度はBorg scaleで“ややきつい”の運動とした。高血圧と脳出血の既往があるため、A期・B期ともに開始前の血圧測定を行い安全を確認し実施した。介入効果の判定として、週1回のTimed Up & Go test(以下TUG)と10m最大歩行速度を計測した。<BR>【結果】TUGはA期開始時が9.3秒、A期終了時が9.5秒でB期終了時が9.4秒であった。10m最大歩行速度はA期開始時が1.0 m/s、A期終了時が1.1 m/sでB期終了時が1.7 m/sであった。<BR>【考察】本症例ではTUGではA期・B期ともに著明な変化は見られなかったが、10m最大歩行速度でB期の介入後に上昇がみられた。本症例では週5回のマシントレーニングを行うことにより、通常の理学療法に比べ、歩行能力に改善を示すことができた。監視での運動を行うことができるマシントレーニングは、適切な設定と患者指導を行えば、一人のセラピストでも多数の患者に介入ができ、患者一人当たりの運動する時間も延長できる。その結果、活動量が増加し、歩行能力の改善につながったと考えることができる。

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