点字触読時の接触力について

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タイトル別名
  • 熟達者は軽く,未熟者は強いのか?

抄録

視覚障害者が点字を指で触って読む際,熟達した読者であれば紙面への接触力が軽く安定しているのに対して,未熟者では力が強く不安定であると主張されてきた.しかし従来の研究報告は,接触力測定の校正方法に関する記述がないなどデータの信頼性に欠けている.そこで6軸力センサを組み込んだ装置と適切なデータ補正手段を適用することで,精度,時間応答性,安定性に優れた接触力測定システムを実現した.このシステムにより,従来の研究では観察されなかった接触力データの微細な変動を捉えることができるようになった.点字読者20人以上を対象にとして点字触読実験を行った結果,未熟者群の接触力は軽く,指の上下運動による不安定さが見られること,熟達者群では個人間の違いが大きく,未熟者より強い接触力を加える人もいること,指の上下運動があっても実用的な速度を出す人もいることなど,従来の主張と異なる実証データを得ることができた.この結果は,従来の点字指導法を検討し直すきっかけとなるだろう.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205667118336
  • NII論文ID
    130007006190
  • DOI
    10.14908/jslrr5.7.0.118.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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