視覚障害者誘導用線状突起の検出や方向判別におよぼす形状やサイズの影響

説明

【目的】視覚障害者誘導用ブロック(点字ブロック)は2001年にJIS規格化されその型が現在広く普及しているが、規格化時はあらゆる使用条件下での機能保証に重点がおかれ、利用者以外への配慮には至らなかった。そこで、本研究では屋内等の平滑な床面での使用を想定したユニバーサルデザイン志向の点字ブロックを開発することを目的とした。今回、線状ブロックに関して形状・サイズと検出力や方向判別力との関係の検討を課題とした。<BR> 【方法】被験者は視覚障害者10名とした。長さ4mの歩行路の途中に、7種の線状突起(上・底面幅各17, 27mm、突起高1~5mm(JIS))と対照(突起なし)の8種の試料を60×60cmの領域に置き(線方向は進行方向と平行又は垂直)、その上を歩行した際の、1)突起検出率、2)検出の確信度(1点ほとんどない~4点かなりある)、3)突起の方向判別率、4)判別の確信度について調べた。<BR> 【結果】突起の検出率および確信度は突起高の増加と共に上昇した。検出率が95%に達する高さは平行2.2mm、垂直1.4mmであり、検出時の確信度が3に達する高さも同じであった。一方、線方向の判別は、正答率が95%に達する高さは平行2.6mm、垂直2mmであり、確信度が3となる高さは平行2.4mm、垂直2mmであった。以上の結果から、歩行方向に対して平行より垂直の突起配置の方が検出しやすいこと、高い確信度で正確に検出でき方向判別もつく高さは平行および垂直方向からの進入を考慮して2.6mm以上であることが分った。<BR> 【結論】路面・床面が平滑である場合、単独歩行経験を有する視覚障害者であれば、JIS規格(高さ5mm、傾斜角45°)より突起高が低く、傾斜が緩い線状ブロックでも比較的高い確信度で検出可能であることが認められ、利用者以外に対する影響を軽減した線状ブロックの開発が可能と考えられた。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205667673216
  • NII論文ID
    130007006533
  • DOI
    10.14908/jslrr5.9.0.1.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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