医療施設におけるカラーユニバーサルデザインの検証

説明

目的: お茶の水・井上眼科クリニックは2006年1月に開院した。開院にあたり、高齢者やロービジョン者に使いやすい施設作りを目指した。今回色弱模擬フィルタを使い、カラーユニバーサルデザインからの観点から検証を行った。 方法: 色弱模擬フィルタは「バリアントールTM」(伊藤光学工業) を用いた。検証には健常ボランティア15人(一般色覚者)の協力を得て、バリアントールを使用しクリニック内の案内表示、誘導サイン、診察室や待合室等の中で色弱者にとって見分けにくい配色の検出を試みた。また、バリアントールで検出した箇所をデジタルカメラで撮影し、色覚シュミレーションソフト「UDingTM」(東洋インキ)で色変換を行い、再度検証を行った。 結果: エレベータホールでのエレベータの色名のみを用いた誘導表示や受付案内表示、黒の階段の段鼻のみが濃い赤で強調されている箇所、緑と赤で色分けされた院内地図、予約カウンターの平日・休日が黒・濃い赤のみで色分けされたカレンダーなどの問題箇所が検出できた。問題のある箇所はどれも模擬フィルタ、シュミレーションソフトの両方で検出できた。反対に色と文字の両方を用いたトイレの施錠表示、色と特徴的なピクトが組み合わされたドア及び廊下の突きだしサイン、濃い赤ではなく朱赤を用いた電光表示などは模擬フィルタ、シュミレーションソフトの両方でその見分けやすさが確認できた。 結論: カラーユニバーサルデザインの検証には、色覚シュミレーションツールが有用であり、また医療施設等の公共の場にはカラーユニバーサルデザインの導入が必要不可欠と思われた。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205667689088
  • NII論文ID
    130007006558
  • DOI
    10.14908/jslrr5.9.0.2.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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