介護老人保健施設の短期集中リハビリによるADLの変化と在宅復帰率

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【はじめに】  平成18年4月より介護保険制度が改正され、新たに入所日より3月間のリハビリテーション(以下リハ)の算定に、短期集中リハビリテーション実施加算が設定された。これは長期間の、かつ漫然としたリハが見直され、短期集中リハビリテーション(以下集中リハ)が評価されたものである。介護老人保健施設(以下老健)においても在宅復帰には、以前よりチームによる短期間の集中的取り組みの必要性は言われてきていた。そこで当施設の集中リハによるADLの変化や在宅復帰状況を報告する。<BR> 【対象と方法】  平成18年4月から平成19年3月までに当施設に入所し、退所となった集中リハ実施者62名(男性24名、女性38名、平均年齢79±10.0歳、平均要介護度3)を対象とした。方法は入所時、退所時におけるFunctional Independence measure(以下FIM)の変化と集中リハ非実施者との在宅復帰率を調査比較した。<BR>  集中リハ実施者は毎日約20から40分の個別リハと週2回の集団体操および革細工や陶芸などの趣味的活動や施設内でのADL動作練習、歩行練習、立ち上がり運動、家事動作を実施した。<BR> 【結果】  集中リハ実施者のFIMの平均点数は入所時71±20.2点、退所時は76±26.0点であった(P<0.05)。平均入所期間は96±75.9日で、退所先については50%が在宅で、老健、病院はともに約20%、特別養護老人ホームが8%であった。集中リハ非実施者(134名)の平均入所期間は577.8日で退所先は在宅16%、病院35%、老健8%、特別養護老人ホーム29%であった。集中リハ実施者と非実施者では、在宅復帰率に大きな差が生じていた。また入所期間も集中リハ実施者の方が、著明に短かった。<BR> 【考察】  今回の調査により長期間の入所よりも、短期間集中してリハを実施していく方が、年齢に限らず在宅復帰しやすいことが分かった。また短期間で集中的に実施していく方が、利用者の在宅復帰に対する気持ちも強いと考える。歩行能力や移乗動作能力向上により施設生活での活動参加なども増えていき、集中的に行っていく事で利用者本人にも能力向上を実感してもらえ、『しているADL』へとつながりやすい。そして能力向上し在宅復帰につながりやすいと考えた。また在宅復帰は家族の意向によっても左右してくるものであり、利用者のADL向上のみでなく家族の精神的な部分に対してもアプローチしていく必要がある。<BR>

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