ブラウン・セカール症候群と中心性頚髄損傷の症状を呈した頚髄損傷例の経験

  • 影山 昌利
    医療法人社団 明徳会 協立十全病院 リハビリテーション科
  • 高木 大輔
    医療法人社団 明徳会 協立十全病院 リハビリテーション科
  • 内藤 美沙希
    医療法人社団 明徳会 協立十全病院 リハビリテーション科
  • 佐々木 嘉光
    医療法人社団 明徳会 協立十全病院 リハビリテーション科

書誌事項

タイトル別名
  • 予後を含めた運動療法介入の効果の検討

説明

【はじめに】<BR> ブラウン・セカール症候群(BSS)と中心性頚髄損傷(CCS)単独の予後及び運動療法介入の効果に関する報告は多いが、合併例に関しての報告は少ない。今回BSSとCCSを合併した症例を経験し、予後を含めた運動療法介入の効果の検討を行った。尚、本人に口頭・紙面で説明し同意を得た。<BR>【症例紹介】<BR> 60歳代後半男性。平成21年1月23日にトラック荷台より転落。頚髄損傷・第2腰椎圧迫骨折・左下腿骨折受傷しA病院に入院。2月5日に左下腿骨折に対する固定術施行。2月12日に腰椎コルセット完成し翌日よりリハビリ開始。3月9日に当院転院。<BR>【入院時現症】<BR> 精神状態良好。ASIA運動スコア右12点(上肢2点・下肢10点)、左40点(上肢20点・下肢20点)。感覚スコア触覚左右56点、痛覚右56点、左10点。左半身C5以下温痛覚脱失。深部感覚異常なし。機能障害尺度Cレベル。MMTは右上肢が分離運動不十分につき評価不可、右下肢0~3レベル、左上下肢3~4レベル。TUG19.1秒、10m歩行19.0秒。歩行はサイドウォーカー近位監視レベル。FIM107点で病棟内車椅子自操レベル。<BR>【経過】<BR> 平成21年3月9日からPT・OT訓練開始。3月19日より肝炎でベッドサイド訓練のみ実施。4月1日より訓練室で再開。4月2日にT字杖歩行訓練開始。4月15日に屋内四輪型歩行車歩行自立。5月8日より片脚スクワット訓練追加。5月22日に屋内T字杖歩行自立。6月5日に自宅退院。<BR>【退院時現症】<BR> ASIAスコア変化なし、機能障害尺度Cレベル。MMT右下肢0~3レベル、左上下肢4~5レベル。TUG11.7秒、10m歩行10.19秒、T字杖歩行自立。FIM112点。<BR>【考察】<BR> ICCP臨床試験ガイドラインによると、ASIA機能障害尺度においてCからD以上へと回復する割合は93%と報告されている。本症例はASIA機能障害尺度においてCレベルから変化がなく、明らかな麻痺の改善は認められなかった。今回の結果からBSSとCCSを合併した症例においては単独例と比べて麻痺の改善は乏しいが、運動療法介入により筋力・バランス・歩行能力等の身体機能とADL能力向上が認められる可能性が示唆された。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205668200576
  • NII論文ID
    130007006794
  • DOI
    10.11529/thpt.25.0.38.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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