脳梗塞で摂食・嚥下障害、重度認知症を呈した一症例

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  • ~姿勢制御と摂食・嚥下機能の関係~

抄録

【はじめに】 脳血管障害による摂食・嚥下障害の発症頻度は高く、その大半は脳梗塞に併発するものであるとの報告もある。その中には認知症などを併せ持つ場合もあり、治療上困難を極める事も少なくない。今回橋梗塞により摂食・嚥下障害を発症し、発症後重度の認知症を呈した症例の摂食・嚥下機能向上を目標とした理学療法を経験したので報告する。 【症例紹介】 79歳男性。診断名:脳梗塞(橋)、認知症、高血圧 現病歴:平成21年2月14日右片麻痺、構音障害、嚥下障害認めER受診し入院。平成21年3月19日当院回復期病棟入院となる。既往歴:多発性脳梗塞、高血圧 入院時HDS-R:5点<BR>入院時ADL:全介助 食事は全介助(ヘ゜ースト食、水分はジャム状)で摂取時間に1時間 発症前ADL:食事、整容、入浴、更衣、屋内屋外歩行自立 【理学療法経過】 当院入院日よりPT・OT・ST開始。覚醒はJCSで_II_-10程度のことが多く吃逆が頻繁にみられる。食事は先行期~咽頭期に問題あり、全介助で所要時間は平均50分。車椅子バックレストへの強い押し付けが見られた。重度認知症による検査測定や臥位への拒否見られ、患者本人の好む坐位・平行棒内中心の治療とADL中心とした介入を実施。支持面に着目し姿勢調整を行ったところ発症約3か月でヘ゜ースト食をスフ゜ーン使用し30分程度で全量自己摂取可能、義歯の洗浄、整容が自立となった。 【考察】 今回、橋梗塞による摂食・嚥下障害に重度の認知症を合併した症例を経験した。姿勢調整を行っていく中で、支持面からの情報変化が摂食時の頚部や上肢の操作性に大きく影響を与えており先行期~口腔期における問題の改善につながったと考える。また発症前ADL自立度が高かった事や認知症患者の学習効果においては患者の好む内容の選択が有効とされており、本症例の情動変化による受け入れ可否を捉えアプローチ出来た事で動作再学習が円滑に行われたのではないかと考える。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205668468224
  • NII論文ID
    130007006935
  • DOI
    10.11529/thpt.25.0.131.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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