前十字靭帯再建術後のリハビリプログラムの検討
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- 笹川 尚
- 黒部市民病院リハビリテーション科
書誌事項
- タイトル別名
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- 術後早期からのROM訓練の必要性
説明
【目的】前十字靱帯(以下ACL)損傷に対し、さまざまな方法の再建術が行われるようになってきた。当院でも半腱様筋(以下SMT)を用いたACL再建術を行っているが、最近では移植腱と大腿骨孔との癒合不全が、問題点として上げられるようになった。その原因として術後のリハビリテーション(以下リハビリ)において、術後早期からの過度の関節可動域(以下ROM)拡大訓練が考えられる。そこで当院では平成20年度より術後早期はROM訓練を行わないプログラムを作成し施行してきた。ROMの角度獲得時期の変化について現在のプログラムで行った群と以前採用していたROM訓練を行うプログラムで行った群とで比較検討した。 【方法】平成18年4月~平成20年12月までに当院でACL再建術を行った44名を対象とした。平成19年12月までに手術をして術後1ヶ月間以内に徒手的にROM訓練を行った群25名、平成20年1月~12月までに手術をして術後2カ月間徒手的にROM訓練を行わなかった患者19名に分類し、術側の膝ROMの伸展‐5、0度、屈曲90度、120度獲得までの日数を測定した。 【結果】ROM訓練を行った群は膝伸展‐5度獲得までが51.3日、0度獲得までが107.1日、屈曲90度獲得までが23.9日、120度獲得までが59.2日であった。ROM訓練を行わなかった群は膝伸展‐5度獲得までが56.3日、0度獲得までが101.8日、屈曲90度獲得までが28.4日、120度獲得までが53.3日であった。どちらのプログラムに対しても有意な差は見られなかった。 【考察】術後のROM訓練を積極的に行わなくても膝の屈曲・伸展ともにROMの獲得までの期間に有意な差は見られなかった。当院のプログラムでは膝伸展0度までは3カ月、屈曲120度までは2カ月を目標としており、両群ともに目標に到達していた。 【まとめ】術後早期からのROM訓練を行わなくてもROM獲得に問題がなかったと考えられ、ROM訓練を行わない術後プログラムは妥当なものであったと考えられる。
収録刊行物
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- 東海北陸理学療法学術大会誌
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東海北陸理学療法学術大会誌 25 (0), 170-170, 2009
東海北陸理学療法学術大会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205668527232
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- NII論文ID
- 130007006982
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可