腰痛症に恥骨結合部損傷が関与していた一症例
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説明
【はじめに】我々は恥骨結合部に圧痛を認める腰痛症例を経験している.腰痛症例の恥骨結合部を超音波画像診断装置で観察した文献はあるが,その病態生理について述べた文献は渉猟できなかった.今回,恥骨結合部に関与する筋肉と腸骨操作への対処で症状と所見が消失した腰痛症例を経験した.病態生理を検討し報告する. <BR>【症例紹介】30代女性.初診日前日の起床時に腰痛が出現し徐々に症状が増悪した.初診時立位体幹右回旋10°,左回旋5°で有痛性制動があった.背臥位両下肢伸展挙上検査(以下BSLR)70°で有痛性制動があった.背臥位両下肢伸展挙上後下降時痛(以下BDrop)40°であった.股関節屈曲外転外旋検査(以下パトリック)左右60°で有痛性制動があった. 右恥骨結合部腹側から背側へ圧迫を加えると、右恥骨に触れた程度で圧痛を認めた. BSLRに対して腹直筋に対して触知・圧迫テストを行ったが変化はなかった.右内転筋と右薄筋に伸縮性テープを貼付すると,右薄筋でBSLRの有痛性制動は消失した.腸骨開排防止装具を着用し局所的安静を指導した.2診目パトリック右60°,左70°で有痛性制動を認めた.右薄筋,左腹直筋,左内側ハムストリングス,腸骨右前傾と左後傾テープを貼付すると所見が消失した. <BR>【考察とまとめ】BSLRで右薄筋へのテーピングが著効した.薄筋はBSLR動作で股関節内転保持に作用している. BSLR70°以降で薄筋の付着部が起始部を乗り越えると,腸骨後傾運動にも作用し更に収縮し,右薄筋起始部に侵害刺激が入力されたと考えた. <BR>恥骨結合部は腸骨の動きとともに動いている.また恥骨部に付着する筋群が腸骨の動きに作用している.恥骨結合部損傷の症例に対し恥骨結合部に付着する筋群と仙腸関節に対処し,恥骨結合部の局所的安静をとることで症状と所見を改善することができる.
収録刊行物
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- 東海北陸理学療法学術大会誌
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東海北陸理学療法学術大会誌 25 (0), 106-106, 2009
東海北陸理学療法学術大会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205668647168
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- NII論文ID
- 130007007078
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- 本文言語コード
- ja
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可