プロテオーム解析を用いた肺腺がんにおけるgefitinibの奏効性やEGFR遺伝子変異に関わるタンパク質の探求

DOI
  • 岡野 哲也
    国立がんセンター研究所 プロテオームバイオインフォマティクスプロジェクト 日本医科大学呼吸器・感染・腫瘍内科
  • 近藤 格
    国立がんセンター研究所 プロテオームバイオインフォマティクスプロジェクト
  • 藤井 清永
    国立がんセンター研究所 プロテオームバイオインフォマティクスプロジェクト
  • 高野 利実
    国立がんセンター中央病院
  • 大江 裕一郎
    国立がんセンター中央病院
  • 蔦  幸治
    国立がんセンター中央病院
  • 松野 吉宏
    国立がんセンター中央病院
  • 弦間 昭彦
    日本医科大学呼吸器・感染・腫瘍内科
  • 西村 俊秀
    東京医科大学臨床プロテオームセンター
  • 加藤 治文
    東京医科大学臨床プロテオームセンター 東京医科大学外科学第一講座
  • 工藤 翔二
    日本医科大学呼吸器・感染・腫瘍内科
  • 広橋 説雄
    国立がんセンター研究所 プロテオームバイオインフォマティクスプロジェクト

書誌事項

タイトル別名
  • Proteomic signature corresponding to the response to gefitinib (Iressa, ZD1839), an epidermal growth factor receptor (EGFR) tyrosine kinase inhibitor, and mutation in EGFR in lung adenocarcinoma

抄録

【目的】肺腺がんにおけるgefitinibの奏効性とEGFR遺伝子変異に関わるタンパク質群を同定すること。【方法】国立がんセンター中央病院で肺腺がん術後再発症例としてgefitinibの治療を受けた77症例の手術時の検体を用いた。蛍光二次元電気泳動法と質量分析を用いてタンパク質の発現プロファイルを作成した。機械学習法および多変量解析を行い、治療効果やEGFR遺伝子の変異に発現が強く相関するタンパク質を決定した。【結果】奏効例(CR, PR)31症例と非奏効例(PD)16症例との判別に重要な9タンパク質群を同定し、奏効性予測モデルを構築した。奏効性予測モデルの判別能を追加した14症例を用いて検証したところ、陽性適中率は100_%_(6/6)、陰性適中率は87.5_%_(7/8)となった。発現異常の一部はELISAでも確認できた。EGFR遺伝子の変異型があった34症例となかった24症例の間に、12タンパク質の有意な発現の差異を認めた。変異を伴った奏効例のうち治療効果が持続する群(6ヶ月以上)に特徴的なタンパク質群も同定した。【総括】gefitinibの奏効性に相関するタンパク質は、奏効性の予測マーカーとして有用性が見込まれる。また、EGFR変異の結果として引き起こされる複雑な「がんの個性」の背景にあるメカニズムを調べるうえでは、EGFRの変異に相関するタンパク質群のデータベース構築とネットワーク解析が重要であると考えている。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205674864768
  • NII論文ID
    130007007612
  • DOI
    10.14905/jscp.2006.0.16.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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