TKA術後患者の下肢荷重量の変化について

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抄録

【目的】<BR> 人工膝関節全置換術(以下、TKA)では術後の下肢支持性向上が期待される。そして、下肢荷重検査は左右下肢別における荷重量と重心動揺を捉え、荷重量から下肢支持性を評価し、静的・動的バランス能力を推測することが可能である。今回、変形性膝関節症(以下OA)患者のTKA術前後における下肢荷重量の変化について、下肢荷重検査を用いて測定し、術後の経過とともに報告する。 <BR>【方法】<BR>  対象は当院にて片側TKAを施行された23例(男性3名、女性20名)である。対象平均年齢は73.9±7.0歳、平均在院日数は36.1±9.1日であった。方法は関節可動域(以下ROM)と移動能力(TUGTを含む)測定とともに術前、術後4日、術後1週、術後2週、術後4週、退院時の計6回下肢荷重検査を行なった。下肢荷重検査にはアニマ社製 重心動揺計キネトグラビコーダを用いて、静的立位検査およびつま先接地足踏み検査を両検査とも30秒間で行った。片側下肢荷重率は全体重量を100_%_とした片側下肢荷重量が百分率で表される。各期間の測定値を反復測定による一元配置分散分析およびFisher's PLSDを用い解析し、有意水準は5_%_未満とした。 <BR>【結果】<BR> 対象の術前最大歩行能力は独歩12例、T杖歩行11例(TUGT13秒 n=20)で、退院時は独歩15例、T杖歩行8例(TUGT10秒 n=19)であった。対象のうち3例は術後4週未満に退院していた。病棟内移動能力は術後1週では車椅子押し歩行は半数ほどで他は車椅子自走であった。そして、術後2週前後で車椅子押し歩行~T杖歩行が全体の7割ほどに増加し、術後3・4週ではT杖歩行が主な移動手段となった。 静的立位検査における術前の術側下肢荷重率は平均44.2±5.5_%_で、術後4日から1週では37.9±5.9_%_、39.7±6.4_%_と術前と比較し有意に低下した(p<0.05)。さらに、術後2週には43.1±5.2_%_となり術前レベルに回復していた。また、術後4週まで計測可能な20例に関しては46.4±4.9_%_と術後2週とよりさらに有意な改善が認められた。全症例の退院時術側下肢荷重率は平均45.9±4.8_%_であった。 動的つま先接地足踏み検査における術前の術側下肢荷重率は平均47.1±3.9_%_で、術後4日41.5±5.7_%_、術後1週43.9±5.6_%_、術後2週46.2±4.6_%_となり、静的立位検査と同様の経緯を示した。また、術後4週には48.4±4.7_%_となり有意な改善が確認された。全症例の退院時術側下肢荷重率は平均47.9±4.2_%_であった。 <BR>【考察】<BR> 廣田らは、退院時である術後平均27日の術側下肢荷重率は術前と同等にまで回復すると報告している。しかし、今回の結果は術前レベルまでの回復は術後2週と早期に達成されること示している。姿勢アライメントやROMの変化とともに、入院中の病棟内移動能力や歩容と下肢荷重率について、検討を加え考察する。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205675743744
  • NII論文ID
    130007007865
  • DOI
    10.14902/kinkipt.2008.0.49.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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