視覚障害者誘導用ブロックの新たな敷設方法の有効性に関する研究

  • 高橋 和哉
    社会福祉法人 視覚障害者支援総合センター 首都大学東京 大学院 都市環境学部
  • 岡村 祐
    首都大学東京 大学院 都市環境学部
  • 秋山 哲男
    首都大学東京 大学院 都市環境学部

書誌事項

タイトル別名
  • 「点・線混合ブロック」の方向定位機能の検証

説明

目的:
視覚障害者(全盲者、重度弱視者)が日常的に信号交差点でどのような行動をとり、またその行動に起因する情報が何かをアンケートを通して、明らかにする。その結果から幾つかの問題点を抽出し、立地的、構造的に悪条件下の交差点に対して、ブロック種類を変えることにより、どのような効果が得られるかを検証する。 
方法:視覚障害者20名に対して、交差点歩行に関するアンケートを行う。その結果を受けて、ホーム縁端警告ブロック(以下、混合ブロック)で方向定位ができるという仮説をたて、それを基に、新たな敷設と従来の敷設を実験空間において、被験者に交差点横断を想定しながら歩行を行ってもらい、それぞれの歩行の軌跡を計測し、比較する。被験者は、視覚障害者16名、晴眼者4名(必要に応じて、アイマスク、耳栓を着用する) 
結果:
アンケート結果:日常的に利用している交差点においても、状況が変わることにより横断失敗することがある。また、直交していない交差点に関しては、音情報を正確に捉えることが難しく、横断回避をする傾向にある。交差点横断の行動を5つに分けて考えた場合、横断開始時と歩行方向決定時に音情報が重要であるが、現状はその情報が不足している。 実験結果:被験者障害の度合いによる違いはあるものの、おおよそ3分の2の被験者において混合ブロックで方向定位ができることがわかった。 
考察:
実験前に混合ブロックでの方向定位オリエンテーションを行ったが、障害状況の違いにより実験主旨の理解度にばらつきが生じた。視覚障害の度合いによって効果の違いがみられ、光覚のある視覚障害者、あるいは軽度の視覚障害者に対しては、効果が低かった。晴眼者に対して効果があったことを考慮すると、混合ブロック効果のなかった他のグループに対しても、内方線を利用した方向定位を訓練で修得すれば、効果は上がると考えられる。この混合ブロックを活用した交差点での誘導用ブロックの敷設方式は、通過車走行音などの音情報が加わることで、有効性が増すと考えられる。ただし、内方線の向きを車道側・歩道側どちらに置くかは、今後の課題である。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205678103808
  • NII論文ID
    130007008117
  • DOI
    10.11507/jarvi.18.0.14.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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