中途視覚障害者の点字学習の支援について

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タイトル別名
  • ―触読初心者にとって読み取りやすい点字文字と点間隔の影響―

抄録

【はじめに】 中途視覚障害者の点字学習を支援するために取り組んだ二つの実験について紹介する。 一つ目は、触読初心者にとって読み取りやすい文字を調べた実験である。 二つ目は、点間隔の違いが読み取りやすさに与える影響を調べた実験である。 【触読初心者にとって読み取りやすい点字文字】 中途視覚障害者の点字学習の初期段階では、読み取りやすい文字を利用するのが望ましい。そこで、触読初心者にとってどの点字文字が読み取りやすいかを調べる実験を行った。その結果、点の数が少ない、中段に空隙がある、点の並びが単純であるという特徴をもつ点字文字の触読時間が短かった(上位から順に「う」「あ」「ゆ」「お」「ふ」)。一方、点の並びを回転して捉える(「か」「な」「や」の間での混同)、中段の空隙を認識しない(「か」を「ら」に、「ぬ」を「え」に混同)という誤読傾向も観察された。 【点間隔の影響】 標準サイズの点字の学習に困難を抱える中途視覚障害者には、標準サイズよりも点同士の間隔を広げた点字の方が読みやすいことがある。そこで、点間隔を任意に変更して点字を印刷できるソフトを開発した。このソフトを使って5種類の寸法の点字を印刷し、点字学習者を対象として点間隔と読みやすさの関係を求める実験を行った。その結果、日本の標準サイズより点間隔の広い点字の方が読みやすいことが、読み取りの正答率と触読時間という客観的データと、心的負担という主観的データの両方の観点から示された。 【おわりに】 どちらの取り組みも、中途視覚障害者に実際にご利用いただくことが今後の課題である。日々点字の指導に当たっている方々のご指導とご協力を仰ぎたい。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205678938112
  • NII論文ID
    130007008149
  • DOI
    10.11507/jarvi.19.0.20.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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