盲ろう児への支援事例

DOI
  • 堀内 恭子
    日本ライトハウス視覚障害リハビリテーションセンター 養成部

抄録

【目的】<BR>  聾学校高等部2年生になる盲ろう児Mへの支援を振り返り、教育や福祉機関がどのように関わりを持ってきたのかを明らかにすることで、課題や今後の支援のあり方を考察する。<BR><BR> 【事例】<BR>  男性、17歳。網膜芽細胞腫、両眼共全盲(義眼)。視覚障害1級、聴覚障害2級。1才11ヶ月時に左眼摘出、4才11ヶ月時に右眼摘出、3歳時に聴覚障害判明。感音声難聴(聴力 右93dB 左91dB)。両親、姉と同居。コミュニケーション手段は、触手話、指文字で受信。一部の音声の認識可能。手話や指文字で発信し、一部音声言語有り。<BR>  平成17年度から22年度まで、年間4回から8回までと非常に少ない回数ながらもMに対して関わりを持ってきた。自宅からスクールバス乗り場までの歩行訓練やメール環境の整備、メールの導入、手引きのされ方の訓練などを実施した。聾学校での授業の様子や盲学校での教育相談の様子を見学したり、教員や保護者を交えてのカンファレンスも行った。教員や保護者、福祉の各々の視点から、Mの実態や課題などを互いに共有し、その都度各々が行える役割を確認しながら関わってきた。中学部からは盲学校の歩行訓練士の教員が教育相談や自立活動の時間にMの指導を担当することとなり、共同で手引きの冊子を作成することもできた。<BR>  また、T盲学校に所属する他の盲ろう児や教員が、M宅にてブレイルセンスプラスの指導を行ったり、T大学研究所から研究員がパソコンの指導に訪問した際に同席することで、Mの自宅でのパソコン環境や操作方法を確認することができた。<BR><BR> 【考察】<BR>  非常に関われる回数が少ないという現状が発表者の最大の課題では有るが、保護者や教員との連携を取りながら、些細ではあるが、Mの状態や課題の把握、互いの情報提供などが行えてきたのではないかと思う。しかし、まだまだ保護者にかかる負担も大きく、今後の連携や体制作りをいかに進めていくかが課題であると思われる。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205679030272
  • NII論文ID
    130007008202
  • DOI
    10.11507/jarvi.20.0.40.0
  • 本文言語コード
    ja
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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