冷温帯落葉広葉樹林構成樹の光合成生産における個葉生理特性とシュート構造の役割
書誌事項
- タイトル別名
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- Effects of leaf photosynthetic and shoot architectural characteristics on carbon gain of cool-temperaterate deciduous broadleaved trees.
抄録
森林生態系による炭素吸収機構の理解のためには,森林構成樹種の生理生態的特性を十分に把握することが重要である。本研究では,冷温帯落葉広葉樹林(岐阜大学流域圏科学研究センター高山試験地)での林冠木と低木の光合成生産における個葉光合成特性とシュート構造の役割を評価することを目的とした。<br> 林冠木であるダケカンバ(樹高約18m)とミズナラ(約15m)の樹冠頂上,林床低木であるノリウツギとオオカメノキを対象として,個葉光合成特性とシュート構造,林内の光環境の測定を盛夏に行った。光合成生産性に対する個葉光合成特性とシュート構造の効果はY-plant (Pearcy & Yang 1996)を用いて解析した。Y-plantはシュートの3次元構造と個葉ガス交換特性に基づいて,個葉やシュートの光合成速度を推定するシミュレーションプログラムである。個葉の受光量はシュート直上の光環境および葉面配向と他の葉との相互被陰によって決まり,個葉ガス交換速度は受光量や気温,湿度に応じて光合成モデル(Farquhar et al. 1980)と気孔コンダクタンスモデル(Leuning 1995)によって計算される。<br> ダケカンバとミズナラでは最大光合成速度は同程度であった。しかしモデル計算により,(1)ダケカンバでは葉が垂れていることにより日中でも葉温の上昇が抑えられている上に相互被陰が小さいためにシュート全体で高い光合成速度を維持するが,(2)葉面傾斜の小さいミズナラでは日中の強光により葉温が上昇することに加えて相互被陰が大きいために光合成速度が制限されることが示された。また(3)低木のシュートでは相互被陰を避けるように葉が配置されており,光を効率的に受け取って光合成生産に利用していることが示された。<br>
収録刊行物
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- 日本生態学会大会講演要旨集
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日本生態学会大会講演要旨集 ESJ51 (0), 108-108, 2004
日本生態学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205686635008
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- NII論文ID
- 130007009184
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可