タイ乾燥落葉樹と常緑樹における葉のガス交換特性の季節変化
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- 石田 厚
- 森林総研
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- 矢崎 健一
- 森林総研
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- 石塚 森吉
- 森林総研
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- Diloksumpun Sapit
- タイ王立林野局
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- Ladpala Phanumard
- タイ王立林野局
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- Staporn Duriya
- タイ王立林野局
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- Puangchit Ladawan
- カセサート大学
書誌事項
- タイトル別名
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- Seasonal changes in leaf gas exchange of tropical dry-deciduous and evergreeen forest trees in Thailand
抄録
タイの熱帯乾燥季節林では、同じような雨量にも関わらず落葉樹林と常緑樹林が見られる。落葉樹林の土壌は常緑樹林よりも肥沃で、土壌栄養塩の量は、森林のタイプを決める一つの要因になっている。炭素固定、水利用、光阻害回避の特性が落葉樹と常緑樹で異なっているという仮説を検証するため、落葉樹林と常緑樹林の林冠木の葉の光合成速度、気孔コンダクタンス、クロロフィル蛍光の日変化を季節を通じて測定した。<br>落葉樹の葉は薄く、より短い生育期間を持ち、葉重当たりの光合成速度や窒素含量はより高く、気孔コンダクタンスもより高かった。また幹の道管直径は、落葉樹で常緑樹よりも大きかった。落葉樹の葉は乾季初期まで葉をつけていた。葉重当たりの光合成速度は、どの樹種も乾季に低下した。雨季と乾季とを比べ、落葉樹の葉の気孔コンダクタンスは乾季でも比較的高かったが、常葉樹では乾季に大きく低下し蒸散による水損失を押さえていた。また光阻害回避の特性に関しては、落葉樹の葉では光化学的な能力やNPQ(過度の光エネルギーの熱放出)の季節変化は小さかったが、常葉樹の葉では乾季で光化学的な能力が大きく低下し、NPQは上昇した。すなわち常葉樹の葉では、光合成能力の低下する乾季には、光合成系IIのdown-regulationによって過度の光エネルギーを積極的に放散させていた。これらのデータから、熱帯乾燥季節林における落葉樹と常緑樹では、異なった炭素固定、水利用、光阻害回避の戦略を持っていると考えられた。
収録刊行物
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- 日本生態学会大会講演要旨集
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日本生態学会大会講演要旨集 ESJ52 (0), 152-152, 2005
日本生態学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205688838912
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- NII論文ID
- 130007009607
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可