登山道の荒廃と高山植物群落との関係についての定量的評価
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- 清水 孝彰
- NPO法人 白山の自然を考える会
書誌事項
- タイトル別名
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- Assessment between Dilapidation around Mountain Trail and the Alpine Vegetation
抄録
亜高山帯から高山帯に位置する登山道では、過剰利用等が原因となり、周囲の植生の荒廃が進んでいる。登山道の荒廃は、植生によりその程度が異なり、特に周囲が雪田や高茎草原等のお花畑となっている登山道は、著しく荒廃が進んでいることが多い。本発表は、白山の標高2000_から_2500mの地域を対象として、登山道の荒廃状況の指標となる登山道幅員を計測し、併せて周囲の植生・標高・傾斜・方位等の環境条件を調査、両者の相関を統計解析し、登山道の荒廃と環境との関係の定量的評価を試みた、市民団体による研究報告である。<br> まず、登山道幅員が周囲の植生により異なる傾向にあるかを、F検定により解析した。その結果、ハイマツ、オオシラビソ群落は他の植生より幅員が狭く、高茎草原は他の植生より幅員が広いという傾向にあった。幅員と、地形の代表要素である標高・傾斜・方位、及び植生との関係を見ると、標高との明確な関係は見られないが、傾斜は小さいほど幅員が広くなる傾向にあった。方位との関係は南南東が最も幅員が大きく、南南東から離れるにつれ幅員が狭くなる傾向にあった。植生との関係は、平均幅員の狭い順に、岩屑・夏緑低木・ハイマツ・オオシラビソ・ダケカンバ・ササ・高茎草原・雪田の順に並んだ。<br> 次に、登山道幅員により大きく寄与している要素は何かを把握するため、標高・傾斜・方位・植生を説明変数、幅員を目的変数として重回帰分析を行った。その結果、植生の寄与が最も大きく、次に大きく寄与しているのは方位及び傾斜であり、標高の寄与は小さくなった。<br> 本発表では、計測データを追加して再解析し、さらに一部の調査点において登山道幅員の経年変化を調査した結果を紹介する。また、残雪・融雪水と登山道荒廃との関係を概略調査し、その概要を紹介する予定である。
収録刊行物
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- 日本生態学会大会講演要旨集
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日本生態学会大会講演要旨集 ESJ51 (0), 732-732, 2004
日本生態学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205689520256
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- NII論文ID
- 130007010426
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可