日本の淡水域に侵入したカワリヌマエビ属の外来個体群
書誌事項
- タイトル別名
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- Invasion of alien freshwater shrimp populations into Japan
説明
2000年前後から西日本各地の河川や湖沼で中国、韓国産と思われるカワリヌマエビ属(Neocaridina denticulata subspecies complex:ツノナガカワリヌマエビ亜種群とよぶ)が見つかっている。発見のきっかけは、中国にしか分布しない共生動物ヒルミミズ(Holtodrilus truncatus)が、2003年兵庫県夢前川水系のミナミヌマエビ(N. denticulata denticulata?)から大量に見つかったことによる。その後、中国、韓国に分布する近縁亜種シナヌマエビ(N. denticulata sinensis)が琵琶湖から見つかったことから、外来のツノナガカワリヌマエビ亜種群が日本に侵入していることが明らかになった。20年ほど前から韓国、中国から生きた淡水エビが釣り餌用に大量に輸入され、また最近ではアクアリウムの鑑賞用にインターネット販売もされており、その一部が野外に逃げ出し、繁殖するようになったと考えられる。しかし、中国および韓国には、シナヌマエビも含め、日本産のミナミヌマエビと形態的に判別不能なツノナガカワリヌマエビ亜種群が広く生息している。このため、形態だけでは外来個体群かどうか区別できないのが現状である。また形態的に酷似していることから、在来のミナミヌマエビと外来のツノナガカワリヌマエビ亜種群間で交雑が生じる可能性が高く、純系の在来ミナミヌマエビ個体群の消滅が危惧される。今後、ツノナガカワリヌマエビ亜種群の分類学的位置づけも含め、詳細な検討が必要である。さらに、もう1種の共生動物であるエビヤドリツノムシ(Scutariella japonica)も琵琶湖や夢前川の問題のエビに付着しているのが確認されている。本種もまた、日本と中国とで同種が生息しているとされており、本種についても外来個体群が侵入している可能性が極めて高い。
収録刊行物
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- 日本生態学会大会講演要旨集
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日本生態学会大会講演要旨集 ESJ52 (0), 128-128, 2005
日本生態学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205689778304
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- NII論文ID
- 130007010855
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可