光環境と葉齢が常緑林床植物のエゾユズリハの光合成特性に及ぼす影響

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タイトル別名
  • Effect of leaf age and light environment on photosynthetic characteristics in leaves of Daphniphyllum humile, an evergreen understory shrub, in Fagus crenata forest

抄録

新潟県苗場山に多く見られるブナ林床には様々な林床植物が生育している。林床は樹冠によって太陽光が遮られるため、樹冠外と比べ制限された光環境である。しかしながら、gap周辺や林縁の光環境は林内と比べ良好である。このようにブナ林床には様々な光環境が存在し、そこに生育している林床植物は光を効率よく利用するための適応戦略を保持していると想像できる。その一つが窒素の利用であると考えられる。窒素は生態系で最も不足しがちな元素の一つであり、「窒素をいかに効率よく利用するか」が植物の適応度を決める一因であると考えられる。<br>本講演では、ブナ林床の様々な光環境に生育する常緑林床植物のエゾユズリハを用い、葉齢と光環境が光合成特性と光合成系への窒素分配に及ぼす影響を調べた。当年葉が受けるる光は0.9_から_17.82 mol/m2/dayであったのに対し、一年葉では0.71_から_9.14 mol/m2/dayであった。当年葉の光合成特性、Rubisco含有量や窒素含有量は光強度と正の相関を示した。しかし、一年葉は当年葉に比べ光強度とこれらのパラメーターとの相関は低かった。エゾユズリハは光環境により葉の寿命が異なり、強光条件で生育している個体ほど葉の寿命は短い傾向がある。したがって、強光条件で生育している個体の一年葉は老化が始まっており、葉内窒素の回収が生じていることが推察できる。光環境の違いによって葉の寿命が異なるのは、個体全体の物質生産量を増加させるための適応であると考えられる。<br>

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205689857920
  • NII論文ID
    130007010970
  • DOI
    10.14848/esj.esj51.0.93.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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