釧路湿原におけるハンノキの種子生産の年変動

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タイトル別名
  • Annual changes of production of seeds of alder trees in Kushiro Marsh

抄録

ハンノキは釧路湿原の低層湿原域に広く分布し、単一種のみで森林を形成する。ハンノキは2年かけて種子生産をすることが分かっており、1年目の秋に雌雄の花を形成し、翌年の4月に開花、受粉する。著者は釧路湿原において、ハンノキの種子生産と雌雄花穂の形成の年変動を17年間にわたって追跡調査を行った。調査は釧路湿原の異なる3個体群において、ハンノキを1986年から2002年までの17年間にそれぞれ成熟したおよそ10固体にマーキングをして、雌雄花穂の形成が終わる冬から受粉の始まる翌年の春にかけて、毎年行った。調査の結果、雌雄花穂の形成、種子の生産は毎年おこるわけではなく、雌雄花穂の形成が見られる年と見られない年とがあり、種子の生産も年による変動が激しかった。個体群により花穂形成と種子生産とは異なっており、それは釧路地方の気象に左右されるものではなく個体群により違いが見られた。また、同一個体群の中では種子生産の豊凶は同調する傾向があった。しかし、同一個体群中でも固体によっては種子生産の豊凶のパターンが異なるものもみられた。種子生産の豊凶の周期は個体群により異なるが、3個体群のうち2つの個体群では1年おきに豊凶が現れる傾向がみられた。しかし、完全に1年おきではなく2,3年豊凶が連続する場合もあった。3個体群のうちの1つは樹高が低いなど成長の悪い個体が多かったが、種子生産、雌雄花穂の形成も個体による差が著しかった。

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詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1390001205689872896
  • NII論文ID
    130007010995
  • DOI
    10.14848/esj.esj52.0.654.0
  • データソース種別
    • JaLC
    • CiNii Articles
  • 抄録ライセンスフラグ
    使用不可

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