小さい雄は成長するか?ーエボシガイ類における矮雄の繁殖戦略の数理モデルー
書誌事項
- タイトル別名
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- Do tiny males grow? - A model on reproductive strategy of tiny males in Barnacle -
説明
エボシガイ類には、1.全個体が雌雄同体である種、2.大型の雌雄同体に矮雄がつく種、3.大型の雌に矮雄がつく種、の3つの性表現がみられる。矮雄は種によって、生涯を通して成長するものとほとんどしないものがある。例えば、ミョウガガイの矮雄は消化器官がなく、成長しない。では、種による矮雄の生活史の違いは、何から生じるのだろうか?これを説明するために、以下の数理モデルを作成した。 矮雄は、大型個体に定着する段階で、成長や繁殖に使える資源を持ち合わせていると考える。この資源をどのように使っていくかが、生涯の繁殖成功の度合いを決める大きな鍵となる。そこで、矮雄の生活史戦略パラメータを2つ導入する。1つは、各時刻における成長と繁殖への資源の分配比率である。もう1つは、各時刻における資源の放出速度である。早めに資源を使い切ってしまうのがよいか、あるいは寿命まで徐々に資源を使っていくのがよいかは、矮雄にとって重要な戦略となる。 矮雄の繁殖成功度については、大型個体1匹につき、数個体の矮雄が定着しているので、雄間競争を考慮した。大型個体が雌雄同体の場合には、矮雄間の競争だけでなく、雄役の雌雄同体と矮雄との競争も存在する。 矮雄の大型個体への定着時期が、全ての個体で同じ場合と個体によって異なる場合について、ポントリャーギンの最大原理を用いて、矮雄の生涯の繁殖成功度を最大にする最適な生活史戦略を求めた。定着時期や矮雄の成長率や寿命などのパラメータおよび大型の雌雄同体個体の有無により、最適な生活史戦略がどのように変化するかを調べた。
収録刊行物
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- 日本生態学会大会講演要旨集
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日本生態学会大会講演要旨集 ESJ52 (0), 101-101, 2005
日本生態学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205689893376
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- NII論文ID
- 130007011034
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可