広域スケールにおける生息地の連続性がモリアオガエルの分布に及ぼす影響
書誌事項
- タイトル別名
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- The effect of large-scale habitat connectivity on the distribution of Forest green tree frog
説明
生息地の連続性は、個体群の存続に不可欠な要因である。しかし、連続性の評価に関する研究は理論的な仮想実験の場合が多く、実際に地図上で簡便に計算可能で、かつ生物学的に有効な評価指標は極めて少ない.そこで、本研究では西日本に分布するモリアオガエルをモデルに取り上げて、生息地の密集度と分散能力を考慮した新たな連続性評価手法の有効性について検証した。まず、分断化による影響と気象要因などによる影響を区分するために、既存の分布情報を元にして、モリアオガエルの広域的な潜在的生息地推定を行った。その結果、中国地方中南部では、潜在的な生息地ポテンシャルが高いにも関わらず、分布が欠落することが判明した。この地域を対象として、分断化の評価を以下の手順で行った。まず、1)森林の密度を様々の半径(120 - 5000m)で集計し、2)分散分析を用いて分布の可否を最もよく説明する半径と密度の抽出、3)2)の結果を用いて2次メッシュを解析単位として、分布の可否を分かつ閾値となる連続した森林の必要量をJacobsの選好度指数から求めた.その結果、モリアオガエルの分布可否は半径5km以内の森林密度が85%の時に最もよく説明され、連続した森林の必要量は2次メッシュあたり約43%となった.この結果は地図上に表現可能であり、モリアオガエルの分布欠落を説明することができたと考えられた。なお、本研究で示した連続性の評価手法は、対象とする分類群の分散能力や特性に応じて、集計半径と生息地密度を変化させて、最適なスケールを検討することができる点で、保全計画に有効だと思われる。
収録刊行物
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- 日本生態学会大会講演要旨集
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日本生態学会大会講演要旨集 ESJ52 (0), 639-639, 2005
日本生態学会
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205689935872
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- NII論文ID
- 130007011106
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可