メダカの脊椎骨数の緯度間変異に与える遺伝と水温の影響について
書誌事項
- タイトル別名
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- Genetic and themal influences on latitudinal variation in vertebral number of the medaka fish
抄録
魚類の脊椎骨数は種間あるいは集団間で地理的に変異し,一般に高緯度に生息する魚ほど脊椎骨が多い傾向にある(=Jordanの法則).しかし,その生態的・進化的要因は解明されていない.これは,脊椎骨数の緯度間変異に与える遺伝および発生水温の影響,ならびに両者の相互作用や共分散に関する知見が少ないことによると考えられる.メダカOryzias latipesをモデルシステムとして,緯度の異なる野生集団間で脊椎骨数を比較した結果,高緯度集団ほど脊椎骨が多く,本種にJordanの法則が適合することが示された.さらに,この脊椎骨数の緯度間変異は,尾椎骨数ではなく腹椎骨数の変異によるものであることもわかった.また,共通環境実験の結果,どの水温環境で発生させても,高緯度集団から得られた稚魚ほど腹椎骨数,ひいては脊椎骨数が多くなることが示された.これは,腹椎骨数ないし脊椎骨数は遺伝形質であり,Jordanの法則は適応的変異であることを示唆している.しかし,腹椎骨数および脊椎骨数は発生水温により可塑的に変化することも明らかになった:どの集団も低水温で発生した稚魚ほど脊椎骨および腹椎骨が多くなる傾向にあった.また,集団と発生水温の間に有意な相互作用は存在しなかった.これらの事実は,緯度という水温環境の勾配に沿って,腹椎骨数あるいは脊椎骨数に関与する遺伝子型が水温による可塑的変異を押し広げるように偏在しており(=cogradient variation),遺伝子型と環境の影響が正の共分散関係にあることを意味している.講演では,個体の腹椎骨数あるいは脊椎骨数と適応度の関係についても言及し,Jordanの法則が各緯度の気候環境に対する適応進化を反映している可能性について検討する.
収録刊行物
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- 日本生態学会大会講演要旨集
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日本生態学会大会講演要旨集 ESJ51 (0), 218-218, 2004
日本生態学会
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1390001205689980288
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- NII論文ID
- 130007011188
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- データソース種別
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- JaLC
- CiNii Articles
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- 抄録ライセンスフラグ
- 使用不可